何時まで経っても大好きな作品

  • 2018.07.31 Tuesday
  • 21:03

今回はコレ。

 

武田鉄矢主演 「刑事物語2 りんごの詩」

 

洋画、邦画全てひっくるめて一番自分が好きな映画を選べ。

そんな質問をされたら、私は迷うことなくこの「刑事物語2 りんごの詩」を選びます。

 

中身は、よれよれの服に胴長短足な体形、変な長髪とおよそ刑事には見えない片山刑事は実は蟷螂拳の達人。普段は全くさえない男だが、正義感は強くいつもやり過ぎてしまって各所の警察をたらいまわしに。彼が飛ばされた先には不器用な恋愛と悲しい別れが待っている…というモノ。

 

70年代のブルース・リーからジャッキー・チェンのカンフー映画のブームを背景に、唯一無二、そういった作品群に対抗心むき出しで作られた作品だったりします。着想は当時「3年B組金八先生」でヒットを飛ばしていた武田鉄矢氏が、「ドランクモンキー酔拳」を見て日本でもこんな映画を作りたい、と一念発起して制作された、というもの。

 

当時の武田氏は本気の本気、撮影前に自らの身体を鍛え上げ、芝居の為の間に合わせの拳法を教えて欲しいという頼みを断っていた松田隆智氏もその熱意を認め、秘門蟷螂拳を伝授した、という逸話も有名です。ちなみに松田氏は日本での中国拳法研究の第一人者とでもいうべき人で、漫画好きには「男組」の監修協力や「拳児」の原作の人としても知られる人。ちなみに何で蟷螂拳なのか?というと、劇中でもしばし指摘されている様に武田氏の体系が胴長短足という典型的な日本人体形で、そんな体形でもさまになる拳法、という事で蟷螂拳が選ばれたんだそうな。

 

さて、「りんごの詩」ですが片山刑事の赴任地は青森県は弘前。2年前の札幌現金輸送車強奪事件の唯一の手掛かりであるりんごの種を調べる事に。その種の調査を依頼しに行ったりんご試験場で片山は所員の美しい女性・忍と恋に落ちるが…という内容。

 

激情予告編の動画。ファンにはお馴染みの名セリフ「違〜う!!木の奴〜!!」も。

ビニ本を隠して持ち去ろうとする刑事は「さすらい刑事旅情編」でお馴染みの故・三浦洋一氏。

 

この「刑事物語」シリーズといえば、とにもかくにもハンガーヌンチャクが有名ですが、コレは松田氏ではなく武田氏考案。1作目の敵の表の商売がクリーニング屋なのも、アクションシーンにハンガーが出てきても違和感がないから、という理由なんです。(笑)ちなみに「りんごの詩」はシリーズ内の興行収入はトップで、公開時「東宝映画で最も観たい映画」になっています。

 

ただ、予告編やパンフレット等には如何にもハンガーヌンチャクが売りの様になっちゃっていますが、実は大変に悲しいお話なのです。ヒューマンドラマだ、とか言ってしまっても決して過言とは言えないレベルでドラマ部分に力が入ってます。何より、見せたいモノ、やりたい事がはっきりと直球で描かれている映画なんですよ。

 

いや、基本は他愛ない映画なんです。金もそんなにかけられてる風でもなし、売りの筈の武田鉄矢氏のアクションも何だか不格好。スマートさやおしゃれさとは無縁な、古臭〜い感じの作品です。でもその中には不器用な優しさ、哀しい出会いと別れ、男の純情、滑稽さ…沢山詰まっている、笑って、泣けるエンターティメントなのですよ。特に「りんごの詩」は悲劇的な要素が強く、クライマックスではいつも涙腺緩みっぱなし…そして神がかったタイミングで流れる吉田拓郎氏の「唇をかみしめて」でブゥワッと涙腺崩壊するんですよ。

 

髪がかったタイミングでかかるエンディングテーマ、と言うと「シティーハンター」の「Get wild」が有名ですが、この「唇をかみしめて」も負けていません。実は主演、監督、脚本(「くろしおの詩」以外)を務めた武田氏が唯一自分でやらなかったのがエンディング曲で、氏の強い熱意で吉田氏が書き上げたのがこの「唇をかみしめて」。実は1作目の時にスタッフから「広島が舞台でもないのに広島弁で相応しくない」という意見があったんだそうですが、映像…ラストシーンに当ててみたら全員一致で決まった、という逸話があるんですね。それ程、ハマっているエンディング曲なんですよ。

 

「男は強くなければ、大好きな人はみんな遠くへ行ってしまう」

 

HPに書いていた「刑事物語」の記事を読んだ人が、文面だけで「弱くちゃダメなんですか?」みたいな…「アンタは民主党政権時代の蓮舫か!?」と言いたくなるような事を書き込んできた人物がいたんですが…多分この人、「りんごの詩」を見たことがないんだろうな、と。見た人なら分る筈なんです。この言葉の持つ真の意味が、そしてこの言葉の裏に隠れた男の悲しさが。

この「りんごの詩」を見てから、続編「潮騒の詩」の

 

片山「おい、ゆっくりやらせてやれよ。」

ホッケーマスク男「おっさん、優しいね。」

片山「だから苦労してんだよ。」

 

のシーンを見ると、片山刑事の言葉の重みがより感じられます。だからこそ堪らなくカッコいい。

今の邦画が多分捨ててしまったのであろう大切なモノが、この「刑事物語」シリーズには確かに残されているんです。

「僕らはみんな河合荘」 11巻(完結)

  • 2018.07.30 Monday
  • 22:14

宮原るり 「僕らはみんな河合荘」 11巻

 

…あれ?ついこの前10巻のレビューしたばっかりだった様な…って、同じ月にコミックス2冊リリースですか、はい。

 

まぁ、10巻からの継続で、一波乱はあったものの納まるべき所に収まったな、という印象。大団円ですね。

意外と言うか、予想外だったのが既存面子で河合荘に残ったキャラクターが思いの外少なかった点。律ちゃん、シロさん、彩花の3人が河合荘を離れ、代わりに入ってきたのが意外や意外、麻弓さんの親友・愛美さん。まぁ、家が火事に遇って臨時で、ですが。

 

…コレは正直、予想できんかった。というか、河合荘の経営、大丈夫か?(笑)

 

ただ、麻弓さんと愛美さんの関係って、宮原先生が好きそうな関係なんですよね。方や強気で天上天下唯我独尊な性格ながら実は誰よりも乙女な部分があるキャラクターと、その親友で真面目で凛とした優等生ながら他人に頼れない脆さを抱えるキャラクター…コレってモロに「恋愛ラボ」のリコとマキですよね、ええ。

 

昔っからよく言われる「女の敵は女」ってのがありますよね。

私はオトコなので偏見だとか言われそうですが、経験豊かな昭和生まれの勝手な印象で言ってしまえば、女の人ってのは自分より不幸な同性には優しい態度をとるんだけども、自分より幸せを謳歌していそうに見える同性は嫌悪する、という様なフシがある気がします。いや、飽くまで私の目にはそう映るケースが多いってだけで世の中の全ての女がそうだ、なんて断定は出来ません。あくまでイメージですよ?

 

そういう偏見を持つ目にも、麻弓さんと愛美さんの関係やリコとマキの関係ってのはフラットに見えるんですね。勿論お互いに対してドロドロとした愛憎渦巻くモノってのは抱えているんだろうけど、真に見下さないし見下されないというか、何だかとても気持ちいい関係に見えるんですね。掛け値なしの女の友情、というか。コレは「みそララ」における穀物トリオの関係にも言える事。作劇においてドロッドロな部分と言うのは描かれこそすれどそれは必ず解決する安心感みたいなものがあり、そういう陰湿な要素をカラッと決着してくれるからこそ、青年誌連載の本作はまだしも、「恋愛ラボ」の様なかなり女性向けな作風やテーマの作品ですら、いい年したオッサンでも最後まで付き合える、という…コレ、宮原先生の生み出すキャラクターや物語における最大の持ち味、という奴なのではないかと思えるのです。

 

ですから、最後に愛美さんが登場したのは意外でしたが、個人的には嬉しかったですね。出番こそ少ないですが、好きなキャラクターでしたし。

 

それと、彩花が地元に帰ってナベツネコンビ再結成。(笑)実家の土建屋で働き嫌悪していた父親と向き合い始めたり、大学生となった宇佐君と律ちゃんが相変わらずのいちゃつきっぷりで高橋先輩もついにギブアップする程の爆発しろ状態だったりというのも描かれますが、意外な事に椎名は出てきましたが佐久間の出番がなく、書生カフェの黒川と林さんがどうなったのかも描かれていない点。ついでに田崎と安藤さんや、前村さんなんかも未登場で終わっちゃいましたね。この辺は愛美さんの大抜擢に比べて意外というか、ちょっと残念かな、と思ったり。特に前村さんに関しては若干ネガティブなイメージのまま出番が終わってしまった印象があるので、ちょっとでもフォローを入れてあげて欲しかったな、と。まぁ、ちょこちょこ律ちゃん関連で顔出しはありましたが。

 

まぁ、この辺のキャラクターはその他大勢だと言われればそうですし、コッチ…読み手側でその辺は想像するのも面白いかも。

 

さて、宇佐君と律ちゃんが主人公とヒロインな筈ですし、この二人も最後まで大団円なラブコメっぷりを展開してはくれているんですが、それでも最後はやっぱり麻弓さんとシロさんが全部持ってっちゃった印象です。「勇者ウサ」をココで出しますか?と。(笑)

 

ともあれ、8年間のお付き合いでしたが、大変楽しませていただきました。

コミカルとややシリアスのバランスが良く、キャラクターもみんな魅力的、とお手本のような良いラブコメだったかと思います。

宮原先生、次回作も頑張ってください。

 

…できれば「みそララ」の続きの方もぜひ…。(笑)

「木根さんの1人でキネマ」 5巻

  • 2018.07.29 Sunday
  • 10:32

アサイ 「木根さんの人で1人でキネマ」 最新5巻

 

映画好きの30代独身OLの木根さんの生活を描いた「木根さんの1人でキネマ」…本作を私は「孤独のグルメ」の映画バージョンだと感じているんですわ。思えば井之頭五郎も本作の木根さんも、基本的に趣味は一人で楽しみたい…というか、趣味を他人に邪魔されたくない、と考えるタイプですし、似ている部分は多い気がします。ただ「孤独のグルメ」には描かれていないオタク、マニアの悲しい習性が描かれているのがポイントかと。

 

私が5巻で注目したのは、木根さんと故あって彼女とルームシェアしている佐藤さんが「卒業」という映画を見てブチ切れてしまい…というエピソード。と、いうのも佐藤さんはバツイチで、離婚理由は夫の不倫。勢いで離婚はしたけど行く所が無くて木根さんの所に転がり込んできた女性です。んで、件の「卒業」という映画は結婚式真っ最中のヒロインを主人公が奪い去る、というラストシーンが有名で、名作との誉れ高い作品。ただこの主人公、ヒロインの母親と肉体関係…つまりは不倫をしている訳で、そこが佐藤さんの逆鱗に触れてしまった訳ですね。

 

「卒業」という作品を否定しない奴は許さない…「これが嫌いな私に共感しろ」という共感ヤクザ状態に陥った佐藤さんをなだめる…というか、矛先を他に向ける為木根さんは佐藤さんに自分がやっている映画ブログに「卒業」のレビューをゲスト寄稿させる事に。しかし書いている途中で正気に戻り、自分が書いているのが悪口だと気づいた佐藤さんですが、今度はそれに対し木根さんが激怒。ココからが痛快なんですわ。

とある作品の感想を書くのに、「悪評を書いたらその作品が好きな人に悪いと思わないのか?」という意見に対し、

 

「好きな人だぁ!?好きな人ってどこの誰よ?アンタのパパ?ママ?それとも神様?そいつアンタに何かしてくれたの?」

「私は政治や宗教の話をしてるんじゃない。趣味よ!!なぜコミュニケーションの話に置き換え善悪の秤で裁こうとする!?」

 

と絶叫し、それでも「作り手に悪いとは思わないのか?」という意見に対し

 

「こちとら寿命削って映画見とるんじゃい!文句ぐらい言わせろ!!」

「確かに汚い感情かもしれない。でも好きも嫌いも同じ自分の中に芽生えた自分だけの感情。だから沙籐にもそれを否定して欲しくないの!」

「それに人間、自分の好きなものを嫌いと言われたらムカつくし、嫌いなものを好きと言われたらやっぱりムカつくのよ。どうせムカつくなら言いたいこと全部言った方が楽でしょ!!」

 

言い放つ。そして、なおも「趣味は人とのコミュニケーション。好きなもので人と繋がり心を豊かにする」と抵抗する連中にはそれぞれの趣味に合わせてキョーレツなカウンターをお見舞いして粉砕ッ!!いやぁ、見事としか言いようがありません。

 

以前も書きましたが、ビートたけし氏が「一億総批評家」等と茂木健一郎氏の「テレビはオワコン」という意見に反論してましたが、批判されたからといって「じゃあお前がやってみろ」というのは送り手として一番レベルの低い返しではないかと。そもそも、日本の場合はお客様は視聴者ではなくてスポンサーでしょ。視聴者からのしょーもないクレームもあるんでしょうが、そういうクレームを真に受けて「自社のイメージを損なう」と現場に口を挟むのはスポンサー。ついでにプロダクションからのゴリ押しとかも平気で通してヘッタクソなアイドルとか主演に起用したりするんだからして、視聴者の方は2割程度なんじゃないか?と。

 

だから、こういう意見も出て来る訳でね。

 

まぁ、ただ作品の感想とかを正直にブログやSNSで感想を書く事は悪い事ではない…というか、コレ出来なかったらココはネタ何もなくなってしまう訳でね、そしてそこに書かれたレビューや感想記事に共感、反論するのもいいとは思います。ただ、ある一線…「人は人」という一線を心で引いておかないと下手したら炎上してしまう訳でね。

 

私も、基本自分の感想記事に関する共感や反論とかに関しては「そういう意見もあるかもね」程度で終わりです。それが感想やレビュー内容に対しての感想、例えば「違う、そこはそうじゃないんだ」という具体的な解釈や指摘なら私としても大いに参考にさせていただきますが、単なる感想に対しての「あの名作を貶めるとはけしからん」的な抗議だったらなおさら聞く耳持てません。個人の感想に抗議してそれを取り下げさせる、という行為ってのは大変傲慢な事だと私は思うので。いや勿論個人の感想という言葉を建前にすれば何を言っても構わない、というのは違う、というのも胆に銘じているつもりですが。

 

ただ、ネットには議論みたいになってしまうケースは多々あります。そんな中で場合私が一番厄介に感じたのは何を返しても「自分の言っている事はそういう事じゃない」として同じ主張をただ繰り返し、面倒になった相手が降りると「論破してやった」と言い出す様な手合いです。

ネット内では作品に対する感想の食い違いが、暴走して読み手の人格否定にまで発展しやすいから厄介です。

読み手も書き手も「ふーん、あっそう」位で済ませるのが楽なのかも知れません。

 

 

 

 

File4.学園七不思議殺人事件

  • 2018.07.28 Saturday
  • 20:50

と、いう事で今回は「学園七不思議殺人事件」です。この事件といえば、やっぱりこの人。

 

不動高校ミステリー研究会会長 3年生 桜樹るい子

 

う〜ん…きっと不動高校には他にも「"五木"まり子」とか「白石"瞳"」とか「"浅"岡美嶺」とか「小室友"理"」とか「河島和津"美"」とか「星野"ヒカル"」とか「朝"川"蘭」とか「"丈"麻美」「"優"木瞳」とか…色っぽい女生徒がいるんでしょうね、うん。(笑)

 

上記した不動高校にいるかも知れない女生徒の元ネタが分かった人は…多分「ファイナルファンタジー5」に登場するある敵キャラクターの名前で何だか悶々とした気持ちになった事がある筈だ!!(笑)

 

…「カジテツ王子」って漫画には及川奈央紀ってキャラクターがいたなぁ…アレは男だったけど。

ちなみに公式ガイドブックによると、このエピソード連載中、講談社に「桜樹るい子、いいですねぇ」と荒い息した男から「複数」電話がかかってきたんだそうで。エロは偉大なり。

 

それはともかく今回の事件のキッカケですが、不動高校の旧校舎は元々はとある薬剤会社の社屋。その製薬会社の新薬実験中に死亡事故が発生し、それを隠匿する為に社屋や敷地内に死体を埋められ、不動高校に社屋が譲渡された後も死体が埋められた場所に七不思議の噂を流し、人を近づけないようにした…というモノですが、この旧校舎って木造校舎とされています。まぁ木造だろうが鉄筋コンクリートだろうがいいんですが、建物の壁って案外薄いんですよね。特殊な用途でもない限り。ダムの壁体とかの厚い構造体ならいざ知らず、死体を隠すのにはちょっと無理がないかい?と。100歩譲って何らかの理由で壁を厚くしていたとしても、白骨が露出した絵を見る限り漆喰か何かで塗り固められた壁だと思うんですが、仮に死体を壁に埋め込んで漆喰等で固めたんだとしても、地震だの解体だの以前に腐敗した死体から出た諸々で壁に染みみたいなのが出て来るんじゃねぇかな、と。白骨化してから埋めた、としても、白骨化するまではどこに死体を隠してたの?という疑念が出る訳で、死亡事故起こして慌てて隠した筈なので、そもそもそんな悠長な事はしていられなかったと思うんですわ。

 

後、犯人は今回の事件以前にも七不思議…つまりは旧校舎に隠されたモノを見つけてしまった生徒を殺してまたしても壁に埋めた訳ですが…じゃあ何でいくら緊急とはいえ露出してしまった白骨を隠すのにポスターを使うなんて間抜けをしたんですかね。だって、死体を壁に埋めたんなら、補修して埋め直してしまえばいいと思うんですわ。いや、いっその事死体を別の場所に移してしまう事だって出来たんじゃないか?教師なら「壁の損傷が激しかったからとりあえず応急措置をしておいた」なんて言い訳は出来るんじゃないか?と。

 

そして殺されてた壁に埋められた女生徒。彼女もちょっと変。七不思議の真相を突き止め、犯人の過去まで調べ上げた彼女…何と犯人を呼び出して面と向かって告発してしまいます。

 

…いやいやいや、2時間サスペンスの主人公じゃねぇんだからさ!!(苦笑)

タイマンで告発なんてしたら、抵抗されるどころか口封じされるかもしれない訳で、しかも彼女には咄嗟の時に助けに来てくれる狩谷警部とかがいる訳でもない。圧倒的に危険予知が足りてません。無鉄砲にも程があります。

 

何だか、シリーズを通してもかなり間が抜けているというか、行動に違和感があるんだよなぁ…。

 

あ、ちなみに今回のエピソードが決め台詞「じっちゃんの名にかけて」が初登場してます。

しかし、桜樹先輩には生き残って欲しかったなぁ〜と。キャラクターのネーミングといい、位置づけといい死んでしまいそうな匂いはぷんぷん漂わせていましたが。でも無駄にキャラクターが立っていたんだから、このエピソードだけで使い捨てちゃうのは勿体ないかと。まぁ、前回のエピソードで美雪のライバルが出てしまったので、続けてそういうポジションのキャラクターは出せないか。残念。

 

しっかし、エピソード紹介が毎回文句みたいになってしまっている気がしますよ。

いや、嫌いじゃないんですよ?「金田一少年の事件簿」を。

 

今回の犯人

的場勇一郎…犯人強度15万パワー

一言で言えば短絡的な小心者。小心者を追い詰め過ぎると周囲を巻き込んで自滅する、という典型。

まぁ、この人の場合は勝手に自分から追い詰められていって自爆…という印象だが。

建設現場の愚痴

  • 2018.07.26 Thursday
  • 20:48

東京の多摩の現場で火災が発生し、4人の方が亡くなって22人が重症、というニューズが流れています。

同じく現場で働く仲間として、亡くなった方のご冥福と負傷した方々の一日も早い回復をお祈りいたします。

 

現場といえば、来年の2月から5m以上での作業では原則ハーネス型安全帯を使用する事が義務付けられるんだそうで。

現状、多く使われているのは腰ベルト型の安全帯で、コレは私も使ってますが、フルハーネス型は鳶等の高所作業を主とする作業員が付けている他はあまり浸透しているとは言えません。

 

腰ベルト、とかフルハーネスといっても分かり難い人に説明すると、安全帯というのは高い所で作業する際、墜落してしまった際の命綱の様なものです。付属のフックを手すりや所定の設備に掛けて作業する訳です。そして

 

コレが腰ベルト型。文字通り腰に装着します。

 

コチラかフルハーネス型と呼ばれる安全帯。

お笑いタレントがバラエティー番組で宙づりにされる際に装着するモノにロープとフックがついていると考えてください。

 

腰ベルト式は墜落した際に自分の体重プラス落下による衝撃が全部ベルトを巻いている腰にかかってしまい、腰骨や内臓の損傷の危険性が高く、更に建設現場の、しかも不安定な場所では中々救助にも時間がかかる訳で、救助されるまでの負担も腰ベルト型だと大きくなってしまいます。しかしフルハーネス型の場合は落下時にかかる衝撃の支点が分散されるので、墜落してしまった際の身体への負担が少なくなる=怪我する可能性が減り、助かる可能性は上がる、という訳です。

 

そんな訳で、欧米ではほぼフルハーネス型が100%であり、今回も諸外国に合わせた形にする、という名目もあるんでしょう。実際、東京オリンピック関連施設の建設現場にIOCの視察が入った際、

 

「日本では未だに腰ベルト式の安全帯を使わせていて安全意識が低い。」

 

という指摘を受けた、なんて聞きますから、そういう部分も少なからず関係しているのかと。

確かに、建設労働者にとっては自分の命を守るもの。今回の改正はいいことづくめに見えがちなんですが、ところがどっこい、という奴でして、大手ゼネコンの安全担当の人の講話で聴いたことがあるが、ゼネコン各社の多くはこの法改正には反対していたんだとか。理由は、

 

今では住宅などの小規模なものを除く建設現場でほぼ100%と言っていいほど普及した腰ベルト式安全帯ですが、そこまでになったのに20年、30年かかった。それなのに今度はフルハーネス全員装着を義務化したらまた混乱が起きる。

 

という様なモノでした。要は、なんでも、高所作業する人、しない人が現場でどっちがどっちと区別がつかない上に、場合によっては通路なのに安全帯必須、みたいな場面も出て来るので一律全員安全帯…という形にしたんでしょうね。そこでまたフルハーネス必須にするとまた元の木阿弥、という話なんでしょうが…。

 

そもそもさ、欧米ではルハーネス安全帯が100%、というけども実は高所作業しない人は安全帯をハナッからつけないんですよ。高所作業車用の安全装備なんだから、高所作業しない人は安全帯なんかしないし、高所作業する人だって、高所作業するときに安全帯をつけるのよ。実際、石油系外資の精製工場の現場に入ってた事があるんですが、その工場ではむしろ

 

「鉄が擦れて火花が散る危険があるから安全帯は禁止。但し高所作業をする際ははフルハーネス装着義務。」

 

というルールだった位です。

おかしいんですよね、そもそものゼネコンの言い分が。高所作業はしませんよ、という人が安全帯をつける理由なんてないんですよ。例えば外構工事や重機のオペレーターに安全帯って必要だと思います?そりゃ重機の組み立ての際は高所に登るケースがありますから必要ですが、例えばクレーンとかブルドーザーの操作するのに安全帯って必要ですか?と。

 

何というか、変な日本人の平等意識みたいなのって、こういう場合害悪になるケースが多い気がします。

みんな一緒、みんな一律って…一億層中流社会じゃねぇんだからさ、と。考え方がおかしいというかなんというか…。

そもそもが、現場は安全第一、とはよく言いますが、実際の所

 

工期第一、安全二の次

 

で、形だけ取り繕ってます、というのが多過ぎる。未だに「怪我と弁当は手前持ち」の感覚が強いんですよ。労災が起きた時の逃げ道づくりばっかり強いて、内容が伴っていないというか…ホント、安全とか、品質面もそうなんだけど、工期…要するにカネだよね、コレに負けておざなりってのが多過ぎるし、そもそも建設業法とかの法律面だって、安全帯の件もそうだけど、時代や現在の現場の状況に即したものではなくなってきている気がするんですわ。

 

…まぁ、愚痴ったところで改善される訳でもないんですが。

 

 

この頃の香港映画は熱かった

  • 2018.07.25 Wednesday
  • 20:13

今日はコレ。

 

「香港発活劇エクスプレス 大福星」

 

80年代の香港映画は熱かったんです。ブルース・リーがストイックな完璧超人的キャラクターだったのに対し、ジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーの作品は作風がコミカルなモノが多く、それでいてアクションやスタントは体を張った激しいモノで、そのギャップがたまらなく面白いんですよ。映画のエンドロールで流されるNG集も印象的でした。

 

そんな80年代の香港アクション映画の中で、1番印象に残っている、とか1番好き、という訳ではないんだけども、何だか記憶に残っているのがこの作品。通称「福星」シリーズの2作目で、香港映画では珍しい日本ロケを行った作品ですよ。

 

香港警察特捜部のマッスル(ジャッキー)とリッキー(ユン・ピョウ)が日本のヤクザを追って来日。しかし富士急ハイランドでリッキーが敵に捕まってしまった。窮地に陥ったマッスルは香港からキッド(日本語版だとデブゴン/サモ・ハン)達を呼び寄せ、リッキー救出とヤクザの逮捕に挑む。

 

という内容。何故か強く覚えているのが、富士急ハイランドのシーンでマッスル達がヤクザを追跡中に通行人の女にぶつかってしまうんですが、この時の通行人の女の人が「きゃあ、なにをするの?ひどい人たちね」みたいな事をいうんですが、この台詞が…表記すると「キャア、ナニヲスルノヒドイヒトタチネ」的だったのがミョーに印象的。そういえば、マッスル達が冒頭でヤクザを追いかけるのに使ってたの、赤い三菱ミニカだったっけ。昔オフクロが乗ってたんだよなぁ。

 

脱線しましたが、この作品はジャッキー映画でも「〇〇拳」以外では「プロジェクトA」とか「スパルタンX」「ポリスストーリー香港国際警察」等に比べてイマイチ知られていないというか、いやそもそもコレはサモ・ハン・キンポー主演だろ?とかそういう作品なんですが、配役自体はミョーに豪華なんですよね。只でさえジャッキー、サモ・ハン、ユン・ピョウと当時の香港アクション映画3大スター勢ぞろいですし、クライマックスでジャッキーと戦うのは「プロジェクトA」のラスボス・海賊の親分でジャッキーやサモ・ハン、ユン・ピョウともう一人(笑)相手に大暴れしたディック・ウェイ。ユン・ピョウは昔大ヒットした「霊幻道士」の道士様役で知られるラム・チェンイン。そしてトドメにサモ・ハンと戦ったのはボディービルダー界の山口百恵なる異名を持っていた美人ボディビルダーにして後年はハリウッド映画なんかでスタント役もこなしている西脇美智子…知らない人は誰?かもしれませんが、実はかなり豪華なんですよ!!

 

そしてアクションも見どころですが、作風のコミカルさも魅力です。特にキッド達5人は何だか「ドリフ大爆笑」とか見ている様な感覚に陥る程…ってのは言い過ぎですが、何だかユーモラスで面白いんです。5人のじゃんけんの下りのヘンな踊りと歌

 

♪る〜ららる〜ららるらるらる〜ららる〜ら〜る〜ら〜るらるらる〜

 

とか、ミョーに頭に残っちゃうんです。

アクションもコメディとしても面白い作品ではあるんですが…やっぱり「プロジェクトA」とか「ポリスストーリー香港国際警察」といったビッグネームには一歩劣る感は無きにしも非ず。

 

…でも、面白いんですよ?

 

ちなみに、本作は日本で劇場公開された際に、勝手に日本版主題歌みたいなのが入れられてしまっていて、タイトルが「幸運序曲〜大福星のテーマ」というんですが、これを歌っていたのが時代錯誤というグループ。何でも、ギバちゃんや哀川翔が在籍していた劇男一世風靡(一世風靡セピアの母体)のフォロワー的なグループだったらしいんですが、この時代錯誤のメンバーの中に、後年「ボキャブラ天国」で海砂利水魚(現くりーむしちゅー)や爆笑問題なんかと共に出演していたBOOMERの2人がいたんですよ。

 

まぁ、今となっては「誰それ?」と言われてしまいそうなマメ知識になっちゃいましたけどね。(笑)

 

乳揺れだけではなかった

  • 2018.07.24 Tuesday
  • 21:35

久々に3D系の格ゲーがやりたかったのでコイツを購入。

 

コーエーテクモゲームス 「デッドオアアライブ ディメンジョンズ」

 

3D系の格ゲーやりたくても手持ちハードが3DSのみの当方としては、結局の所コレか「鉄拳3D」しかないんですが、「鉄拳」シリーズ…といっても「2」までは学生時代に大ハマりしたんで馴染み度で言えば「鉄拳」ですし、むしろ「デッドオアアライブ」は注目が乳揺れとか、後はマックスファクトリーの出したかすみが屈んでニーソックスを引っ張り上げているフィギュアの完成度が高くて一時プレミアがついていた、とかそんなのばかりだった印象で、ゲーム自体には手を付けなかったんですね。

 

でも、大好きだった「鉄拳」を出していたナムコはバンダイナムコになってしまい、それ以降あんまり良い評判聞かないんですよね。「鉄拳3D」には鉄拳の映画が完全収録、との事ですがコチラにもキョーミ無し。ここはひとつ、「デッドオアアライブ」に手を出してみるか…という事で今日に至る訳です。

 

で、ゲームとしては操作は「鉄拳」より「バーチャファイター」よりですね。ただ打撃と投げと返し技「ホールド」が三すくみになっていて、「スト4」の様なコマンド入力技とかもそんなにはないので格ゲーの中では初心者でも敷居は低めな印象。三すくみ等のシステムの説明やチュートリアル的なモノをやりつつ、シリーズの「1」から「4」まで?のストーリーを追う「クロニクル」というモードが中々丁寧で面白かったです。

 

…と、いいますか、かすみって主人公ポジションだったんですね。不知火舞一歩手前なエロいカッコしてるのに。(笑)

後、「忍者龍剣伝」とか「Ninja Gaiden」でお馴染みのリュウ・ハヤブサが美味しいポジションで参戦してますが、声が堀秀行さんなので、どーしても

 

この人に見えてきちゃうんだよなぁ。(笑)

その内、「甘いぞ!ドモン!」とか、「シュトゥルム、ウント、ドランクゥゥゥゥゥッ!!」とか言い出しそうで。(笑)

 

システム的には慣れてないので正直とっつき難いんですが、まぁ慣れなくともそれなりに戦えてます。

3DS版だからなのかは分かりませんが、話題だった乳揺れはそんなに目立っていない印象。アーケードと違って画面ちっちゃいからかなぁ。まぁ、この辺は別に期待してません…ってホントですよ?(笑)

女性キャラクターを筆頭に、モデリングはかなりキレイな部類。そんなに性能が高くはない3DSとしては頑張ってますね。処理落ちみたいなのもあんまり感じませんし。後、大戦前に2Dのキャラクター絵が出るんですが、かすみとかエレナみたいな髪の長い女性キャラクターだとその絵で髪がふわぁっと流れていて、何気にカッコいいんですよ、コレが。

 

モードに関しては前述した「クロニクル」の他、「アーケード」や各種対戦、「トレーニング」など必要十分。ただ、コンピューターとタッグ組んで強敵と戦う「タッグチャレンジ」はかなり難易度高い気が…敵の強さ、理不尽気味ですわ。(下手なだけか/笑)

ただ技表とかはあるものの、技名とかが記載されていないのがちょっと残念。ついでにステージ音楽を聴けるモードがあれば良かったかな、と。

 

ちなみにキャラクター的には星条旗ビキニのティナさんがお気に入りですわ。ビミョーに相性が悪いのか使い難いんだけども。後はレオンとかクリスティ、こころ、バイマン辺りは好きなキャラクターですね。特にバイマンは声が良い。(笑)

使い勝手が良い気がしたのはあやねとかヒトミ、ザック辺り。バースとブラッドが使い難い印象。あんまり使う気になれないのはエリオットとボス連中、ハヤテ&アイン。特にハヤテ&アインのモテっぷりはどーも好かん。(苦笑)

 

女性キャラクターばっかり話題になってるゲーム…故にビーチバレーとかに派生したんだとは思いますが、割と男キャラクターも手抜きではないんだなぁ…と感心してしまったり。まぁ、当たり前っちゃあ当たり前なんですが。ともあれ、しばらくは遊べそうです。

 

「波よ聞いてくれ」 5巻

  • 2018.07.23 Monday
  • 21:22

と、いう事で沙村広明 「波よ聞いてくれ」の5巻です。

 

帯には「まずいことに作者得意の監禁展開突入 いいぞもっとやれ」

 

なるコピーが。作者お得意…って、「無限の住人」だとその監禁展開な「不死究明編」って割と評判が悪い部類な気がするんだよなぁ…まぁ、ワタクシは大好きですが。

 

…いや、嗜虐趣味とかないですよ?あんまり。

 

ともかく、今回急展開です。小説家への転身を表明した久連子の取材旅行にサポート役を買って出た瑞穂と、録音担当で同行することになったミナレさん。3人の珍道中は思わぬ事件に巻き込まれ…という急展開に!!

ネタバレとか考慮しないで書いちゃうと、取材旅行のガイドになった巨乳メガネ美女が実はある宗教法人の一員で、その宗教法人の指示でラジオ番組を作り放送させる為に3人は拉致監禁されてしまう…という展開。ただ、そこはエログロバイオレンスを封印した「波よ聞いてくれ」ですからエロいしーんもグロいシーンもありません。まぁ、ハニートラップを仕掛けられたりはしますが、そこは「無限の住人」以外の沙村作品的な切り替えしで見せてくれます。

 

しっかし久連子さんが書いたという官能小説の中身…

 

「地形を利用してペルシアの女達を手ごめにしていくレオニダス王」

「今まで抱いてきた女性の秘部の色形を一人一人牛肉の部位に喩えていく読み切り」

 

…何それ!!超読んでみてぇ!!(笑)

それと「えらるど」のくだり…盗聴を警戒する為に筆談しながら別の話題で会話を継続するシーン。コレ、人間業じゃねぇ。(笑)

いやね、「今日は暑いですね」とか「昨日の夕食は何を食べましたか」的などーでもいい会話なら、私も両方やれるかも知れませんが、筆談しながら、全然関係のない、しかも傍で聞いていて何だか面白そうな会話を展開…挙句の果てにその会話と筆談をビミョーにリンクさせていく、という芸当、こいつ等はプロですぜ?マジで。

 

あ、ちなみに久連子さんの官能小説のくだりで出た千草忠夫って人は実在のSM作家だ!!

SM漫画の皮を被った純愛漫画「ナナとカオル」のヒロイン・千草奈々もこの人からとられていたりするんですわ。

 

さてさて、3人を拉致した元凶たる代表の長ったらしい挨拶の最後

 

「何が『配信者』だ。ただゲームやってたりメシを食ってたりカラオケ唄ったり、その程度でシロウトが表現者ヅラしやがって。プロフェッショナリティーがないんだよプロフェッショナリティーが!!」

 

というのは、ある意味昨今のテレビやラジオといったギョーカイの人の共通の意見なのかも。

確かに思いますわ。カリスマyoutuberだのなんだのと言っても、ワタクシ個人としては「誰だこいつ」ですし「大して面白くない」んです。小学生の将来なりたい職業に「youtuber」がランクインしてるのも、正直「何血迷ってんだこいつ等」なんて思ってしまいます。私のみならずワイドショーなんかでも大物芸人とかが否定的な意見を言っている…それでも世間じゃ受けているし、人気がある。それは何故?と言われたら、何のことはない、最終的にはプロが作っている筈のテレビやラジオの番組がつまんないからなんだろうな、と。

 

そういう妄執としてのこの代表のキャラクターは、ラジオを題材にしている割にその題材にケンカを売っている様でもありますが、こういうキャラクターを放り込んでくる辺り、この作品をラジオとかのギョーカイモノにはしたくない…という漫画家としての意思表示なのかも知れません。言うなれば「表現者としての意地」?…って、流石に言い過ぎか。

 

さてさて、今回も

 

「外側(ガワ)はズバリ鶴竜です」

「牛ではしゃぐとか…道民の矜持がねぇのかよ」

「グングニルのごときその胸をもってしてもですか?」

「手ごめにしていくのに処女単行本とはこれいかに」

「まあ折檻もご褒美も内容ほとんど変わらないんですけどね」

「俺、幼少期のトラウマで巨乳が怖いんだ」

「言っとくけど私、私の事好きだって男は全員マゾだと思ってるからね!」

「ヘイムプラネット エアフレームテント 90,800円(税込)」

 

と、切れ味鋭いワードがバンバン出てきますが、中でも今回はコレがワタクシのお気に入りです。

 

「ヒロミ…ここをでたら、アンタに肉をたらふく食わす。体重も腕まわりも倍にして、私を受けとめられる器量の男になりな!」

 

…ミョーにカッコ良いんだよなぁ、この台詞。ミナレさんのクセに。(笑)

ちなみに沙村先生のもう一本の連載作「ベアゲルター」も同時発売ですよ。

 

 

高齢化社会を見据えた漫画業界?

  • 2018.07.22 Sunday
  • 18:46

高齢化社会ではなく超高齢化社会の日本というお国柄なのか、最近高齢者をメインキャラクターに据えた漫画を何となく多く見かける気がします。まぁ、昔から主人公の師匠的ポジションまやったら強いジジィ、なんてキャラクターは昔からパターンとしてある訳ですが、最近は脇役ではなく主役に強いジジィやババァを据えるケースが増えてきた気がします。

確かに、私がガキの頃の60代というと、もう完全に「おじいちゃんおばあちゃん」なイメージでしたが、最近の60代…いや、70代だって割とバリバリ働いたりしている人もいる訳で、そういう意味では、時代に合わせての変貌、という奴なのでしょうか。

 

そんな訳で今回はコレ。

 

艮田竜和&雪山しめじ 「銀狼ブラッドボーン」 現在8巻まで発売中(写真は8巻)

 

銀狼の異名を持つ伝説の吸血鬼ハンターであるハンス・ヴァーピット。寄る年波から引退し、半吸血鬼の少女・ココウィルと平和な日常を過ごす彼の元に、世間を騒がせている"骨抜き事件"の犯人を追って欲しいという依頼が来る。そこで出会ったのは人間を、死人を蘇生して操る化物"骨喰い"。ハンスは老いぼれの最後の仕事としてこの脅威に立ち向かう。

 

…という本格派ファンタジー。ファンタジーと言ってもエルフとかゴブリンが出て来る訳ではなく、現代人がチート能力を所持して転生したりもしません。世界観としては大体19世紀の終わりから19世紀初頭くらいを連想させる文化になっており、丁度「鋼の錬金術師」とかに近い感じです。ただコチラの世界では魔法や錬金術の類はありません。

 

 

まぁ、主人公はこの通り魔法が使えるみたいですが。(笑)

 

基本シリアスなれど、適度に緩い空気というか、コミカルなシーンみたいなのを挟んでくるのも「鋼の錬金術師」に似ているかも知れません。物語自体もハンス達と骨喰い…グリム一派という単純なモノではなく、基本敵対している人類と吸血鬼で、ハンス達の活躍により吸血鬼の勢力や数は激減している状態からスタートとます。場を掻き回すように行動するグリムはかつてのハンスの部下やハンスが屠った吸血鬼を蘇生させ配下に。一方でハンスは日本刀を使い吸血鬼を察知する能力を持つ異国の若者・村上秋水を仲間にし、生き残りの吸血鬼の王・ファウストとも協力体制を取る。更に事の発端たるグリムを生み出した軍部も吸血鬼殲滅の為に暗躍し…という、結構複雑な構図になっています。

 

ただ、作品自体はかつては英雄と呼ばれたが引退した老狩人を主人公に…という一見奇をてらった変化球な作品に思われがちですが、コレがかなりの王道な作風。むしろ寄る年波に勝てない、老いという逃れられない運命を享受し、それでも尚歩を止めることが無い主人公・ハンスの姿、そして経験と勘を頼りに劣勢を覆す様は貫禄十分な面白さです。達人、英雄だから年とってても強い、的に安易に片づけていないのが見事なのです。

 

そしてハンス以外のキャラクターも魅力的。

先ずはハンスの"自称未来の嫁"な半吸血鬼のココウィル。かつて人間によって虐待されていた過去を持つ血を吸わずとも生きられる半吸血鬼で、物語的にも美味しいキャラクターではあるんですが、何よりハンスとの関係…死別したハンスの妻をライバル視し、ハンスに可愛らしい嫁アピールをしているのに当のハンスは彼女を孫の様に扱う…という可愛らしいキャラクター。それだけではなく、ヒロイン格でありながら、次第に第二の主人公的な描かれ方をされるようになります。

 

他にも日本刀を操り右手に化物を宿す秋水、吸血鬼の王ファウスト、トリックスター的なといグリムといった主軸のキャラクターはもちろん、脇役、端役にも役割がきっちり与えられていて死にキャラがいない、というのが本作の最大の魅力なのかも。作画も超絶美麗、とかそういう類の絵ではありませんが、漫画的な作画で安定しています。どうしてもアクション的にグロテスクな描写が増えてしまうので、中途半端に生理的嫌悪感を感じさせてしまう様な汚い絵になってしまっていないのは高ポイントでしょうね。

 

ただ、前述したとおり「鋼の錬金術師」に"似過ぎている"と人によっては捉えられかねない点には場合によっては悪い印象になってしまうかも。確かに似ている部分は多いんです。人間と吸血鬼の根深い対立は「鋼の錬金術師」でのイシュバール関連の描写に近い要素がありますし、グリムとホムンクルス、軍の暗躍といった近しい設定描写があります。コレらを受け手がどう扱うかによって評価は正反対になってしまうかも知れません。例えば「鋼の錬金術師」を信奉してしまっているコアなマニア…いや、信者的なファンの目にはそうは映らなくなってしまう可能性は否定できません。

 

そういう意味で言えば、私は「鋼の錬金術師」のファンには本作をオススメしますが、信者にはオススメ出来ません。

 

舞台装置は似ていますが演目は丸っきり別物…青臭い理想論を最後まで手放さず突き進んだエドに対し、ハンスは目的の為なら仇敵に自らを利用させ、自らも利用する…という手段を選ばない点など明らかに違う要素は多いですし、衰えた肉体を経験と勝負勘で補い、死を厭わないが生は諦めないハンスの戦いっぷりには「パクリ」なんて言葉は無粋というものでしょう。ネット上では漫画作品のパクリを検証するサイトとかもあるみたいですが、「パクリか否か」ではなく「面白いか否か」の方が遥かに重要だと思うんですね、私は。勿論パクリを肯定、擁護する訳ではありませんが、少なくとも特定の作品を神聖視した挙句、自身の目が曇るのは本末転倒かと思うのです。

 

ともあれ、話があっちこっちに飛んでしまいましたが、この「銀狼ブラッドボーン」、カッコイイジジィのカッコイイ活躍を見たい方、読んでみてはいかが?

 

とんでもねぇ。待ってたんだ。

  • 2018.07.21 Saturday
  • 23:32

何だかイライラする出来事があったり、ムカムカしている時にはコレでも見てスッキリして寝るに限ります。

 

アーノルド・シュワルツェネッガー主演「コマンドー」

 

公開されてから30年以上経過した古い作品ですし、なんたら賞とかの権威がある作品でもありません。

はっきり言ってしまえば、筋骨隆々の元軍人が拉致された娘を助ける為に大暴れする…それだけの映画です。

深いテーマだとか、高尚なメッセージだとか、お仕着せの感動とか…そういうのも一切ありません。

 

でも、未だ「午後のロードショー」等で放送されるとちょっとした話題になる程度には根強い人気を持っている映画。

その理由の一つは、こんな映画(失礼)なのに実にいい吹き替えがあてられている、というモノ。

巷に蔓延る自称映画通などに言わせると、映画を吹き替えで見るのは邪道なんでしょうが、世の中には絶対に字幕ではなく吹き替えで見るべき映画があるんですよ。例えば「プロジェクトA」とか「酔拳」「ポリスストーリー 香港国際警察」といった往年のジャッキー・チェンの映画は、石丸博也さんや水島裕さんの声あったてこそでしょうし、「ダーティハリー」もクリント・イーストウッド氏の声も渋くていいんだけど、やっぱり山田康雄さんの声で

 

「泣けるぜ…」

 

の方が何だかカッコよく見えてしまうんです。この「コマンドー」もそういう吹き替えで見てこその一本。実はこの「コマンドー」には吹き替えも2種類あって、それぞれメイトリックス大佐をお馴染み玄田哲章さんが演じたものと、屋良有作さんが演じたものがあるんですが、ワタクシとしては断然玄田版をオススメします。何せ玄田さんはシュワちゃん公認の専属吹き替え声優。マッチョで頼りがいがありそうなその声と演技から、「トランスフォーマー」では日本語吹き替え版を見たハリウッドのプロデューサーが、「玄田は英語が出来るのか?ハリウッドで任せたい仕事がある」とまで言わしめた人です。

 

玄田さんを筆頭に吹き替え陣の名演も然ることながら、吹き替え版の翻訳の素晴らしさ…これに尽きます。何といいますか、作中のイメージにマッチした軽口的な台詞回しや掛け合いが抜群に楽しく、カッコ良いんです。

 

「ジェニー、お父さんと大事な話があるんだ」「そう、令状はあるの?」

「無事取り戻したければ俺たちに協力しろ。OK?」「OK!!(ズドンッ)」

「一番気に入ってるのは」「何です?」「値段だ」

「ベネット!殺されたんじゃ…」「残念だったな。トリックだよ」

「アリアスにいくら貰った」「10万ドルポンとくれたぜ」

「頼みがあるんだが、連れを起こさないでくれ。死ぬほど疲れてる」

「全警備員へ。3階で非常事態だ。容疑者は男性、190cm、髪は茶、筋肉もりもりマッチョマンの変態だ」

「お前は最後に殺すと約束したな」「あれは嘘だ」

「どこで使い方を習った?」「説明書を読んだのよ」

「こんなの飛行機じゃない!羽根のついたカヌーよ!」「だったら漕げばいいだろ!」

「ベネット君、私の兵士たちはみな愛国者だ」「ただのカカシですな」

「野郎ぶっ殺してやらぁ!!」

 

とまぁ、台詞だけでそのシーンを完全に思い出せてしまう様な名シーン続出…これも、翻訳を担当した平田勝茂氏のセンスの賜物と言えましょうな。「コマンドー」の人気が今日まで維持されている理由の一つですよ、間違いなく。

 

余談ですが、本作でベネットを演じた人…この人、コレまたカルト的な人気を今なお維持している「マッドマックス2」でヒューマンガス配下のモヒカン頭の暴れん坊・ウェズを演じた人。つまりは「北斗の拳」の雑魚モヒカンのモデルと言える人でもある訳です。クック役の人は「プレデター」ではシュワちゃん演じるダッチ・シェイファー少佐の部下として共演。安全髭剃り持ってる人、と言えば分かる人には分かるかな。

 

更に余談ですが、ハマーってやたらデカいアメ車のRV車がありますよね?アレ、元々は米軍のハンヴィーという軍用車の民生仕様、というのは知っている方も多いかも知れませんが、実はこのハンヴィーを民生仕様にして売って欲しい、と要望したのはシュワちゃんなんですよ。シュワちゃんはジープやオートバイ好きとしても知られていて、他にも兵役時代に戦車兵だった事からM47パットンも購入し、所有しているんだそうな。

 

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