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自己満足ブログ
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何時まで経っても大好きな作品
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    今回はコレ。

     

    武田鉄矢主演 「刑事物語2 りんごの詩」

     

    洋画、邦画全てひっくるめて一番自分が好きな映画を選べ。

    そんな質問をされたら、私は迷うことなくこの「刑事物語2 りんごの詩」を選びます。

     

    中身は、よれよれの服に胴長短足な体形、変な長髪とおよそ刑事には見えない片山刑事は実は蟷螂拳の達人。普段は全くさえない男だが、正義感は強くいつもやり過ぎてしまって各所の警察をたらいまわしに。彼が飛ばされた先には不器用な恋愛と悲しい別れが待っている…というモノ。

     

    70年代のブルース・リーからジャッキー・チェンのカンフー映画のブームを背景に、唯一無二、そういった作品群に対抗心むき出しで作られた作品だったりします。着想は当時「3年B組金八先生」でヒットを飛ばしていた武田鉄矢氏が、「ドランクモンキー酔拳」を見て日本でもこんな映画を作りたい、と一念発起して制作された、というもの。

     

    当時の武田氏は本気の本気、撮影前に自らの身体を鍛え上げ、芝居の為の間に合わせの拳法を教えて欲しいという頼みを断っていた松田隆智氏もその熱意を認め、秘門蟷螂拳を伝授した、という逸話も有名です。ちなみに松田氏は日本での中国拳法研究の第一人者とでもいうべき人で、漫画好きには「男組」の監修協力や「拳児」の原作の人としても知られる人。ちなみに何で蟷螂拳なのか?というと、劇中でもしばし指摘されている様に武田氏の体系が胴長短足という典型的な日本人体形で、そんな体形でもさまになる拳法、という事で蟷螂拳が選ばれたんだそうな。

     

    さて、「りんごの詩」ですが片山刑事の赴任地は青森県は弘前。2年前の札幌現金輸送車強奪事件の唯一の手掛かりであるりんごの種を調べる事に。その種の調査を依頼しに行ったりんご試験場で片山は所員の美しい女性・忍と恋に落ちるが…という内容。

     

    激情予告編の動画。ファンにはお馴染みの名セリフ「違〜う!!木の奴〜!!」も。

    ビニ本を隠して持ち去ろうとする刑事は「さすらい刑事旅情編」でお馴染みの故・三浦洋一氏。

     

    この「刑事物語」シリーズといえば、とにもかくにもハンガーヌンチャクが有名ですが、コレは松田氏ではなく武田氏考案。1作目の敵の表の商売がクリーニング屋なのも、アクションシーンにハンガーが出てきても違和感がないから、という理由なんです。(笑)ちなみに「りんごの詩」はシリーズ内の興行収入はトップで、公開時「東宝映画で最も観たい映画」になっています。

     

    ただ、予告編やパンフレット等には如何にもハンガーヌンチャクが売りの様になっちゃっていますが、実は大変に悲しいお話なのです。ヒューマンドラマだ、とか言ってしまっても決して過言とは言えないレベルでドラマ部分に力が入ってます。何より、見せたいモノ、やりたい事がはっきりと直球で描かれている映画なんですよ。

     

    いや、基本は他愛ない映画なんです。金もそんなにかけられてる風でもなし、売りの筈の武田鉄矢氏のアクションも何だか不格好。スマートさやおしゃれさとは無縁な、古臭〜い感じの作品です。でもその中には不器用な優しさ、哀しい出会いと別れ、男の純情、滑稽さ…沢山詰まっている、笑って、泣けるエンターティメントなのですよ。特に「りんごの詩」は悲劇的な要素が強く、クライマックスではいつも涙腺緩みっぱなし…そして神がかったタイミングで流れる吉田拓郎氏の「唇をかみしめて」でブゥワッと涙腺崩壊するんですよ。

     

    髪がかったタイミングでかかるエンディングテーマ、と言うと「シティーハンター」の「Get wild」が有名ですが、この「唇をかみしめて」も負けていません。実は主演、監督、脚本(「くろしおの詩」以外)を務めた武田氏が唯一自分でやらなかったのがエンディング曲で、氏の強い熱意で吉田氏が書き上げたのがこの「唇をかみしめて」。実は1作目の時にスタッフから「広島が舞台でもないのに広島弁で相応しくない」という意見があったんだそうですが、映像…ラストシーンに当ててみたら全員一致で決まった、という逸話があるんですね。それ程、ハマっているエンディング曲なんですよ。

     

    「男は強くなければ、大好きな人はみんな遠くへ行ってしまう」

     

    HPに書いていた「刑事物語」の記事を読んだ人が、文面だけで「弱くちゃダメなんですか?」みたいな…「アンタは民主党政権時代の蓮舫か!?」と言いたくなるような事を書き込んできた人物がいたんですが…多分この人、「りんごの詩」を見たことがないんだろうな、と。見た人なら分る筈なんです。この言葉の持つ真の意味が、そしてこの言葉の裏に隠れた男の悲しさが。

    この「りんごの詩」を見てから、続編「潮騒の詩」の

     

    片山「おい、ゆっくりやらせてやれよ。」

    ホッケーマスク男「おっさん、優しいね。」

    片山「だから苦労してんだよ。」

     

    のシーンを見ると、片山刑事の言葉の重みがより感じられます。だからこそ堪らなくカッコいい。

    今の邦画が多分捨ててしまったのであろう大切なモノが、この「刑事物語」シリーズには確かに残されているんです。

    | 零哭堂 | ドラマ・映画 | 21:03 | comments(0) | - |









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