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高齢化社会を見据えた漫画業界?
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    高齢化社会ではなく超高齢化社会の日本というお国柄なのか、最近高齢者をメインキャラクターに据えた漫画を何となく多く見かける気がします。まぁ、昔から主人公の師匠的ポジションまやったら強いジジィ、なんてキャラクターは昔からパターンとしてある訳ですが、最近は脇役ではなく主役に強いジジィやババァを据えるケースが増えてきた気がします。

    確かに、私がガキの頃の60代というと、もう完全に「おじいちゃんおばあちゃん」なイメージでしたが、最近の60代…いや、70代だって割とバリバリ働いたりしている人もいる訳で、そういう意味では、時代に合わせての変貌、という奴なのでしょうか。

     

    そんな訳で今回はコレ。

     

    艮田竜和&雪山しめじ 「銀狼ブラッドボーン」 現在8巻まで発売中(写真は8巻)

     

    銀狼の異名を持つ伝説の吸血鬼ハンターであるハンス・ヴァーピット。寄る年波から引退し、半吸血鬼の少女・ココウィルと平和な日常を過ごす彼の元に、世間を騒がせている"骨抜き事件"の犯人を追って欲しいという依頼が来る。そこで出会ったのは人間を、死人を蘇生して操る化物"骨喰い"。ハンスは老いぼれの最後の仕事としてこの脅威に立ち向かう。

     

    …という本格派ファンタジー。ファンタジーと言ってもエルフとかゴブリンが出て来る訳ではなく、現代人がチート能力を所持して転生したりもしません。世界観としては大体19世紀の終わりから19世紀初頭くらいを連想させる文化になっており、丁度「鋼の錬金術師」とかに近い感じです。ただコチラの世界では魔法や錬金術の類はありません。

     

     

    まぁ、主人公はこの通り魔法が使えるみたいですが。(笑)

     

    基本シリアスなれど、適度に緩い空気というか、コミカルなシーンみたいなのを挟んでくるのも「鋼の錬金術師」に似ているかも知れません。物語自体もハンス達と骨喰い…グリム一派という単純なモノではなく、基本敵対している人類と吸血鬼で、ハンス達の活躍により吸血鬼の勢力や数は激減している状態からスタートとます。場を掻き回すように行動するグリムはかつてのハンスの部下やハンスが屠った吸血鬼を蘇生させ配下に。一方でハンスは日本刀を使い吸血鬼を察知する能力を持つ異国の若者・村上秋水を仲間にし、生き残りの吸血鬼の王・ファウストとも協力体制を取る。更に事の発端たるグリムを生み出した軍部も吸血鬼殲滅の為に暗躍し…という、結構複雑な構図になっています。

     

    ただ、作品自体はかつては英雄と呼ばれたが引退した老狩人を主人公に…という一見奇をてらった変化球な作品に思われがちですが、コレがかなりの王道な作風。むしろ寄る年波に勝てない、老いという逃れられない運命を享受し、それでも尚歩を止めることが無い主人公・ハンスの姿、そして経験と勘を頼りに劣勢を覆す様は貫禄十分な面白さです。達人、英雄だから年とってても強い、的に安易に片づけていないのが見事なのです。

     

    そしてハンス以外のキャラクターも魅力的。

    先ずはハンスの"自称未来の嫁"な半吸血鬼のココウィル。かつて人間によって虐待されていた過去を持つ血を吸わずとも生きられる半吸血鬼で、物語的にも美味しいキャラクターではあるんですが、何よりハンスとの関係…死別したハンスの妻をライバル視し、ハンスに可愛らしい嫁アピールをしているのに当のハンスは彼女を孫の様に扱う…という可愛らしいキャラクター。それだけではなく、ヒロイン格でありながら、次第に第二の主人公的な描かれ方をされるようになります。

     

    他にも日本刀を操り右手に化物を宿す秋水、吸血鬼の王ファウスト、トリックスター的なといグリムといった主軸のキャラクターはもちろん、脇役、端役にも役割がきっちり与えられていて死にキャラがいない、というのが本作の最大の魅力なのかも。作画も超絶美麗、とかそういう類の絵ではありませんが、漫画的な作画で安定しています。どうしてもアクション的にグロテスクな描写が増えてしまうので、中途半端に生理的嫌悪感を感じさせてしまう様な汚い絵になってしまっていないのは高ポイントでしょうね。

     

    ただ、前述したとおり「鋼の錬金術師」に"似過ぎている"と人によっては捉えられかねない点には場合によっては悪い印象になってしまうかも。確かに似ている部分は多いんです。人間と吸血鬼の根深い対立は「鋼の錬金術師」でのイシュバール関連の描写に近い要素がありますし、グリムとホムンクルス、軍の暗躍といった近しい設定描写があります。コレらを受け手がどう扱うかによって評価は正反対になってしまうかも知れません。例えば「鋼の錬金術師」を信奉してしまっているコアなマニア…いや、信者的なファンの目にはそうは映らなくなってしまう可能性は否定できません。

     

    そういう意味で言えば、私は「鋼の錬金術師」のファンには本作をオススメしますが、信者にはオススメ出来ません。

     

    舞台装置は似ていますが演目は丸っきり別物…青臭い理想論を最後まで手放さず突き進んだエドに対し、ハンスは目的の為なら仇敵に自らを利用させ、自らも利用する…という手段を選ばない点など明らかに違う要素は多いですし、衰えた肉体を経験と勝負勘で補い、死を厭わないが生は諦めないハンスの戦いっぷりには「パクリ」なんて言葉は無粋というものでしょう。ネット上では漫画作品のパクリを検証するサイトとかもあるみたいですが、「パクリか否か」ではなく「面白いか否か」の方が遥かに重要だと思うんですね、私は。勿論パクリを肯定、擁護する訳ではありませんが、少なくとも特定の作品を神聖視した挙句、自身の目が曇るのは本末転倒かと思うのです。

     

    ともあれ、話があっちこっちに飛んでしまいましたが、この「銀狼ブラッドボーン」、カッコイイジジィのカッコイイ活躍を見たい方、読んでみてはいかが?

     

    | 零哭堂 | 漫画 | 18:46 | comments(0) | - |









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