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語尾におじゃるはつけません
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    今回はコレ。

     

    灰原薬 「応天の門」 現在8巻までリリース

     

    現在では学問の神・天神様として受験生や学生に信仰のある菅原道真と、「古今和歌集」において六歌仙として記されている歌人の在原業平を主人公としたサスペンスミステリーです。平安時代を舞台にした漫画…というと、「源氏物語」的な雅〜な感じで展開される恋愛主体の少女漫画…というパターンが多い気がしますね。実際、少年誌や青年誌において漫画の題材としてよく使われるのは戦国時代や幕末といった血煙あげて戦いを繰り広げた時代のものが多い訳で、そりゃそうですよねぇ、否が応でも戦闘シーン、アクションシーンが多くなりますし、逆に権謀術数な政治劇としても描きやすい題材ですから。まぁ、フィクションとして創作するにあたり便利で、かつ魅力的な時代だというのは分かりますよね。

     

    そこへ行くと平安時代は…こういう言い方しちゃうとメンドクサイ人達がケチつけに来ちゃうんですが、女の子向けとしては雅な貴族たちの時代で十二単とか和歌といった魅力的な要素が多いんですが、男の子向けとしてはちと弱い…そういう印象は強いんじゃないかな、と。

     

    …あ、平安時代と言うと「陰陽師」って題材もありますね。陰陽師ネタなら式神を駆使した妖怪物怪とのバトルシーンも描けるじゃないか!!という意見もあるかと思いますが、その実、陰陽師そのもの…例えば安倍晴明とかを描いた作品って割と「どっちかというと女子向け」的な作り方をしている作品が多く、男子向けに作られる陰陽師を題材にした漫画って結構舞台は現代や近未来的な作品が多い気がします。例えばアニメにもなってる「双星の陰陽師」とか「東京レイヴンズ」とかですか。後者はライトノベルですが。

     

    そんな訳で、平安時代を題材にしながら、歴史の授業でも習った記憶がある摂政政治…藤原氏が政治の中枢を牛耳ていた、という時代的背景を良質なバディモノのサスペンスミステリーに仕立てているのが先ず本作の見どころな訳ですよ。

     

    知恵者で頭の回転も早いがやや世間に疎く性格も未熟な菅原道真と、女たらしだが交友関係が広く世間を知っている大人な在原業平…という対照的な人物描写も面白く、登場人物達の相関図も分かり難い様に見えて、実は割と分かり易かったりと詠みやすい作品になっています。平安時代についてのウンチクにも偏っていないので、時代モノ、歴史モノに興味が薄い人でも割と取っつき易いんじゃないかと。

     

    描かれる事件も妖怪物怪といった荒唐無稽なものではなく、そういったモノを利用した誰かの犯罪、という描写を徹底しており、その裏には政治権力を巡る権謀術数がある…という構図実に読ませる漫画なのです。私自身、歴史に興味があるとはいえ割と限定された興味…はっきり言ってしまえば然程平安時代には惹かれなかったんですが、この漫画で少し興味持ちましたよ、ええ。

     

    ちなみに、道真とはある事件で知り合い、彼に女房(妻ではなく女性の使用人の意)として引き取られた白梅という少女がいるんですが…名前に「梅」が付きますから、恐らくは「飛梅伝説」の梅が本作では彼女の事なのではないかと。飛梅伝説というのは、道真が藤原時平との政争に敗れて大宰府に左遷された際、

     

    東風吹かば にほいをこせよ 梅花 主なしとて 春を忘るな

     

    と詠み、彼との別れを惜しんだ庭木達が枯れ果てる中、梅と松だけが道真の後を追い空を飛び、松は途中で力尽きたが梅は大宰府までたどり着いた…という伝説。道真が天神様として登場する漫画「ノラガミ」では彼の道標(神に従い神としての在り方を示す眷属)として梅雨というキャラクターが登場するんですが、実は彼女は人間ではなく梅の精、という設定。これは能の演目の一つ「老松」において梅の精が擬人化された紅梅殿がモチーフなんじゃないかと。

     

    それはともかく、白梅は女房となった経緯から道真に強い恩義を感じてはいるものの、恋…というか憧れを抱いているのは道真ではなく業平。しかも道真には既に史実通り島田宣来子という許嫁がいて、彼女は道真にぞっこん。白梅は宣来子の恋の相談相手になっている描写が。ただ、道真が大宰府に左遷された際は宣来子は京都に残ったとされている様で、それに対して白梅が「飛梅伝説」に絡めたキャラクターだとしたら、その辺の経緯がどうなるんでしょうか?

     

    この「応天の門」が道真が大宰府に左遷されるまでを描くかは分かりませんが、気になる所かと。

     

    本作「応天の門」の最新9巻はもうすぐ発売!!今から続きが気になります。

     

     

    | 零哭堂 | 漫画 | 13:35 | comments(0) | - |









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