ち、違う!!…俺はその頃、シシリーでスパゲッティを食べていたんだ!!
- 2019.02.13 Wednesday
- 23:56
数多くの特撮番組に出演し、「ヒーロー番組は教育番組に他ならない」というポリシーを持つレジェンド俳優、宮内洋氏の演じたヒーローといえば?やっぱり「仮面ライダーV3」の風見志郎?それとも「秘密戦隊ゴレンジャー」の新命明?
…確かにどちらも凄いヒーローだ。だが、宮内洋らしさは日本じゃあ2番目だ!!
な〜んて言われたら、「V3」のファンや「ゴレンジャー」のファンは当然怒るでしょう。そしてこう返すんです。
「何だとぉ…じゃあ、誰が日本一なんだ!!」
ヒュウ!!と口笛を吹き、2本指で「チッチッチッ…」とやってから、その指でテンガロンハットのつばを持ち上げ…
このドヤ顔です。(笑)
そう、「怪傑ズバット」の早川健…彼こそがヒーロー俳優・宮内洋の真骨頂だと思うのですよ、私は。
この一連のお約束的な流れから、敵の用心棒との通称「日本一対決」となる訳です。この日本一対決が結構無茶苦茶で、そのせいかバラエティ番組の「スーパージョッキー」の熱湯コマーシャルの前の看板コーナー「ガンバルマン」にて「電人ザボーガー」と共にたけし軍団の無茶苦茶なチャレンジの題材になった事もあります。まぁ、今の若い子はダチョウ倶楽部のおかげで「熱湯風呂」は知ってても、「ガンバルマン」の方は知らないよね。
まぁ、とにかく早川健はカッコイイ。ズバットがカッコイイんじゃないんです。変身前の早川健が、カッコイイんです。コレ…考えてみれば凄い事ですよ?変身ヒーローなのに変身前の方がカッコイイんですから。実際、当時の「ズバット」を見ていた子供達はごっこあそびでもズバットではなく早川健の真似をしていた…なんて逸話もありますし、「怪傑ズバット大全」なるムック本によると、番組プロデューサーだった平山亮氏や脚本担当の長坂秀佳氏も「早川健は宮内洋にしか演じられない」と絶賛しており、宮内氏本人も「宮内は仮面ライダーV3ではなくズバットなんだ」と語っていたりします。
ただ、宮内氏本人は早川ほどはキザじゃないんだって。(笑)
そもそも、変身ヒーローの変身前なんてものは、戦闘員クラスならそこそこ戦える程度の戦闘力で、基本的にはやられてやられて…やられまくってから変身!!というのにカタルシスがある訳です。でも「ズバット」は違う。何せ、変身前の早川健の状態で敵を打ちのめしちゃうんです。尤も打ちのめすといっても戦う訳ではなく前述した「日本一対決」にて、ではあるんですが、一芸に秀でた敵の用心棒がやってみせたスゴ技を、毎回鼻で笑ってもっと凄い事やってのけてしまう…というのがこの「日本一対決」。つまり、変身する前に用心棒に勝ってしまうんですね。
いやいや、勿論これで終わっちゃったら変身ヒーローモノではなくなっちゃいますから、「日本一対決」の後になんだかんだでズバットに変身しての対決…とはなるんですが、その殺陣のシーン…もちろんカッコイイんですよ!?カッコイイんだけど、やっぱり「日本一対決」のインパクトには勝てないんですわ。
多分、単純に変身前はボコボコにされて、ホントの窮地で変身、大逆転…という構図にした方がズバットのオモチャも売れたんだと思うんです。でも、敢えてそうしていない。そしてドラマの中身に関してもそれは同じ。ズバットは敵の幹部を倒すと毎回こう聞く訳です。
「2月2日、飛鳥五郎という男を殺したのはお前か!?」
そう、さすらいのヒーロー・怪傑ズバット…ひいては早川健の目的は、親友を殺した奴を見つけ出し復讐する事。子供向け番組でありながら、れっきとした復讐劇なんです。そして敵対する組織も暴力団やヤクザを束ねる組織・ダッカーで、その構成員は生身の人間ばかり。そしてその悪事と言うのも割と現実的、実際に起きてもおかしくない妙なリアリティがあったりします。更にはにっかつの無国籍アクション映画をモチーフにした演出など、当時としては相当異色だった筈です。そしてそんなドラマも人気を博し、想定していた子供達ではなく、大きなお友達からの支持を得るに至ります。今でこそ、特撮やアニメ作品に対して「大人の視聴にも耐えうるクオリティ」なんて評がある訳ですが、ある意味「怪傑ズバット」こそ、そういった評価を受ける作品の先駆けだった…というのもあながち言い過ぎではないでしょう。ただ、残念ながら結果として「数字(視聴率)が良いのにオモチャが売れない」という事態となり、「怪傑ズバット」は打ち切りの憂き目にあう事になってしまいます。
「怪傑ズバット」という番組は、オモチャの宣伝としては失敗でも、ドラマとしては大成功…それを支えたのが、やっぱり宮内氏演じる早川健の魅力…これに尽きるんじゃないかと。早川健を演じた宮内氏の「特救指令ソルブレイン」出演時の有名な逸話として、こんなのがあります。
宮内氏が「ソルブレイン」に出演していた際、「今まで4本もの特撮番組に出ているのに、どうしてまだ『お子様番組』にばかり出るのか」という様な事があり、それに対し宮内氏はこう反論したんだそうです。
「『お子様番組』って何ですか。子供向けに分かり易く作ってはいるが、映像のプロが心血注いで作っている作品を『お子様番組』と呼ばれるのは心外だ」
そんな矜持を持つ宮内氏が演じ、「宮内にしか出来ない」と評された「怪傑ズバット」という作品にとっては、むしろ「数字が良いのに打ち切り」というのは最大の賛辞と言えるのではないかと思えるのです。
しばらく以前のサイトを訪れていなかったのですが、ふとロボアニメ批評を読み返そうと思ってサイトにアクセスしたら足取りが完全に消えていたので、ここにたどり着くまでに苦労しました……
記事に関係ない質問で恐縮なのですが、以前のサイトにて公開されていた数々のロボアニメ批評「大惨事!!スーパーロボット大全」ですが、あの文章の数々のバックアップはもう存在しないのでしょうか?
もし存在するのであれば、また何かしらの形で読めればと思っています
>あの文章の数々のバックアップはもう存在しないのでしょうか?
実は私がやっていたHPは有料だったので閉鎖後は完全消滅していると思います。というか、よくたどり着けましたね。(笑)
実は記事のデータ自体は「大惨事」「偏愛録」「一話一会」辺りのものなら残っています。流石にそれ以前の「ブラックガンダマーズ」とかのはありませんが。
…ただ、「大惨事」などの記事に関して私的にはもう役目を終えた、と思っているので、このブログとかで再度掲載…とかをやる気はあまりないんです。