傷だらけの栄光 その4

  • 2020.05.17 Sunday
  • 01:10

はいはい、続けて「あしたのジョー2」です。

 

第7話 「さまよえる…野獣のように」

原作やアニメ「1」では、顔面を打っては嘔吐してしまう為に試合を干されたジョーがドサ回りの草拳闘に身を投じるエピソードが入るんですが、「2」ではカットされてます。ドサ回りのボクサー達のリーダー格で、自身もかつてはプロボクサーだったという設定の稲葉の手番もカットされてしまっています。個人的にはドサ回りに身を落したジョーの理解者であり、何かと面倒を見て新たな門出を彼なりのやり方で祝う…という印象的な役回りだったんですが…好きなキャラクターなのでちょっと残念です。

 

そしてゴロマキ権藤再登場。

 

権藤のモデルですが、一説には「グラップラー刃牙」等に登場する花山薫のモデルで、「素手喧嘩(ステゴロ)」で知られる伝説のヤクザ・花形敬がモデルとも言われていますが、はっきりと明言はされていません。ただ、このシーンでの権藤はいつものグリーンのスーツではなく白いスーツ(コート?)を着ており、いつものソフト帽と頬の傷も相まって"らしい"感じになってます。

 

喫茶店にて、いつもジョーの試合を見ていたと語る権藤。連戦連敗の試合を

 

「矢吹さんのファイト…どんな試合だろうと一級品です」

 

と称えますが、これは世辞とかそういうのではなく、もがき苦しんでいる事を分かっていてそれに抗おうともがく姿に敬意を表しての言葉なのでしょう。窓の外ではパトカーがけたたましくサイレンの音を上げている…旅支度の権藤は、恐らく追われる身。

 

一緒に行かないかとジョーを誘う権藤。だがジョーは少し思案した後、

 

「俺は…まだ帰ってきたばかりさ…」

 

と。ここでスマートに去るゴロマキ権藤…堪らなく渋いんです。男を知る男、です。

そして丹下ジムに戻ると段平と西、そして乾物屋の林屋の面々が深刻な面持ち。西は試合で右拳を複雑骨折し、ボクシング引退を決めていた。涙ながらに西が引退してしまうのをなんとかしようとするジョーの姿…なんとも切ないのです。しかし、段平は西のみならず、ジョーも引退させてジムを畳むという。

 

そんなジョーには白木ジムから招待状が届いていた。カーロス・リベラと先日闘った南郷の試合のチケット。

試合会場を訪れると、葉子と遭遇。カーロスが強いのか問うジョーに、「強い」と断言する葉子。ただ、力石のようにか?という問いにははぐらかすような返事。

 

始まったカーロスと南郷の試合。最初から南郷にいい様に振り回され、世界ランカーとは思えない醜態を晒すカーロスだったが、5R開始直後に放ったカーロスのパンチで南郷はKOされてしまう。試合でのカーロスの醜態から、ただのラッキーパンチ…誰もがそう思っていた中、ジョーだけは見抜いていた。パンチが顔面を捉えた直後、滑るように肘が同じ場所をえぐっていた事に。

 

ジョーがカーロスを意識する様になるエピソードですが、改めて見ても、「あしたのジョー2」のスタートが力石戦後である事を踏まえても、カーロスのエピソードまでかなり物語のテンポが早い印象です。でも端折っている印象はないですし、むしろ原作へのフォロー的な演出もあったりして…いや、改めて凄い作品ですわ。

 

 

第8話 「あいつが…燃える男カーロス」

ジョーが白木ジムに忍び込んで、カーロスのスパーリングパートナーに名乗り出るエピソードですね。

 

ジムを畳むと宣言した段平はジムの看板を下ろし、ジョーに手紙を残しドヤ街から姿を消します。よく段平に対し、セコンドやトレーナーとしては二流…と評する声があります。まぁ、私もあながち間違いではないとは思うんですが…この時のジョーの気持ちを最も理解していたのは間違いなくおっちゃんだと思うんです。何故なら彼もかつては日本タイトルまで獲得した強豪ボクサーであり、左目の怪我で志半ばで引退する事になった過去がある訳です。そしてトレーナーに転身しても選手や客に暴力を振るうなど問題行動から干されてしまった…それでもなお、ボクシングに関わる事に夢を見続けてドヤ街の"拳キチ"になった男です。自分がボクシングの世界に引き込んだジョーだからこそ、自分の様にボクシングに引きずられ続ける道から解放したい、縁を切ってやりたい…自分の様になって欲しくないという親心、情があったのだと思うのですよ。

 

 

南郷戦に続き、原島戦でもカーロスは醜態を晒す…いや、演じます。そして今度は9R終了直前に再びヒジ打ちの高等反則を繰り出し、原島陣営に試合を棄権させます。閉店直前の電気屋に乗り込んで試合を見ていたジョーは、カーロスに会いに白木ジムへ。

 

原作ですと、確かジムではなく白木邸に出向いて葉子に頼んでいた筈ですが、「2」では白木ジムのカーロスの公開スパーに潜り込む形に。個人的には劇場版とかであった「無色トウメイ」という言い回しが好きだったので、「2」でもやって欲しかったですね。

 

始めはジョーを舐めていたカーロスが、ジョーのクロスカウンターを喰らって本気になるのは原作と共通ですが、「2」ではこのクロスを放った際もジョーは嘔吐。それどころか続くスパーでも顔面を打つ度に…もちろん、肌がくすんだような色に変化する演出も。

 

ちなみにカーロスの声ですが、「劇場版2」では主題歌や挿入歌を唄ったジョー山中さん…この人実は自身も元プロボクサーだったりします。でも、個人的にはコッチの中尾隆聖さんのカーロスの方がイメージに合ってるかな?と。カーロスの人懐っこさみたいな部分が良い感じだと思います。

 

嘔吐したジョーを見て止めに入ったロバートに対し

 

「彼ヲミロ、マダファイティングポーズヲトッテルジャナイカ。ソレニ私ハイイノヲ一発モラッタ。コノママデハ終ワレナイ。」

 

本気になったカーロスとの壮絶な打ちあい…最初はまだ嘔吐していたジョーだったが、次第に顔面を打っても戻さなくなり、身体の血色も良くなっていく…この力石の亡霊から解放される様が克明に、映像のみできっちり演出されているのがまぁ凄い。ホント、つくづく凄い作品ですわ。語彙力が無くなってしまうレベルで。

 

いや〜見だすと止まらないです、「あしたのジョー2」

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