ネオナチのお笑い芸人

  • 2019.02.06 Wednesday
  • 20:13

まぁ、ぶっちゃけネタ切れ対策の一つなんですが、漫画、アニメ、ドラマ、映画…そういったもののフィクションのお気に入りのキャラクターについてちょっとだけ語る…というカテゴリーを始めようと思います。HPの時からの人には、「偏愛録」のライト版、と思っていただければ分かり易いかと。一応、「主人公」「ライバル」「脇役」とか分けてカテゴリーしていこうかと思います。

 

記念すべき第一弾は「脇役」からチョイス。今回紹介するのはこの人です。

 

漫画「スプリガン」より ボー・ブランシェ

 

皆川亮二先生の代表作と言えば、「ARMS」と「スプリガン」だ…というのに異議を唱える人はあまりいないでしょう。両作品とも悪い言葉で言えば、「厨二」的な設定が前面に出た作風です。特に「スプリガン」は超古代文明だのオーパーツ、一般的には知られていない世界的な特殊組織、冴えない高校生が実は超級エージェント、ライカンスロープ…といった、昨今の漫画、ラノベではもう見飽きた…というレベルの設定をこれでもかっ!!と封じ込めている上に、今となっては古い作品という事もあり、あまり顧みられていない作品な気がします。

 

ちなみに本作の設定、菊池秀行氏の「トレジャーハンター八頭大」…通称「エイリアンシリーズ」という小説をベースにしたもの(と、皆川先生も認める発言をしているらしいです)であり、本作がオリジナルという訳ではないんですが、今から30年前に未だに当たり前に設定として使われている諸々を詰め込み、叩きな破綻もせず描き切り広げた風呂敷も畳んで見せた…という点はやはり「名作」と呼んでいい作品かと思うのです。

 

さて、「『スプリガン』と言えば?」という問いに対してこの作品のファンで彼の名を挙げる人は多い筈。

そんな存在感溢れるキャラクターこそ、ボー・ブランシェなのです。

 

彼はオーパーツ「水晶の髑髏」を狙う秘密結社「ネオ・ナチス」に所属する少尉として登場するのですが、この時点では誤植なのか何故かブラン"ツェ"になってます。本作の「ネオ・ナチス」は現実のネオナチとは違い、オーパーツの力を使って世界征服を企む秘密結社で、彼は薬物によって肉体を強化した強化人間。その実力は御神苗を上回っていたのですが、どうもオツムがやや残念…という片鱗が見受けられ、御神苗の師匠とでもいうべき朧にボコボコに…。この際、朧からは「あなた、見込みがあります。鍛え直して下さい!!」と言われ、再登場を匂わせて退場します。

 

スプリガンとネオ・ナチスの争奪戦にて再登場した彼は、朧の期待通り薬物を止めて自らに特訓を化し御神苗との再戦に臨むも、雪崩により決着がつかず、これ以降彼はネオナチを離れ、スプリガン擁するアーカムの宿敵ともいえる軍産複合体・トライデントの傭兵として登場します。

 

聖櫃を巡るアーカムとトライデントの対決にて再登場した彼は、御神苗との決着に固執せず、トラブルにより操船不能になった客船から乗客の命を守る為、一時的に御神苗に協力する事に。そこで語られた彼の信念がコレ。

 

人間はより優れた人間によって正しき道を選ぶ、そこに幸福があるのだ。

そして優秀な者は、より弱き者達を守る義務がある。

それが私の信じる「ネオナチ」のあり方だ!!

そのかわり支配する者は誰よりも優れてなければならない。

そのために欠かさぬ努力を、精進を重ねなければならないのだ!!

 

コレが彼、ボー・ブランシェという言う人物の本質なのでしょうね。選民思想かつ偏った思想ではあるんですが、その根っこにはノブレス・オブリージュ的なものがある。そしてその信念に基づき、支配する者としての矜持として自らも高みを目指し努力し続けている…この男、根っからの悪党という訳ではなく、自分に厳しく弱きものを守る為には自らの身を挺すことも辞さない…その証拠に助けた子供から懐かれ、慕われる一幕が。

 

このシーンから、ボー・ブランシェは只の"主人公を敵視するキャラクター"から"矜持を持った愛すべきバカ"に進化したのです。

 

また、この辺りから技名を叫びながら技を繰り出す様になるのですが、どうやらこれ等の技は日本のテレビゲームや忍者を参考に編み出した必殺技の様で…。(笑)

 

その後も、「生還者(リターニングマン)」の異名を持つトライデントの傭兵部隊隊長・暁の押しかけ女房ならぬ"押しかけ相棒"となり、御神苗の前に立ちはだかる事に。しかしそんな彼の最後は宿敵である御神苗を援護する為、新生COSMOSの精鋭と死闘の末に力尽きる…というもの。その姿…そして大切な相棒に別れを告げその場を去る暁にグッと来た人は多い筈。

 

コミカルな役回りが多いキャラクターなれど、決める時は決める…そして主人公と相対する敵側のキャラクターにも関わらず、根は善人であり、偏ってこそいるが彼なりの理想と信念、矜持を持って戦い続けたボー・ブランシェ。「スプリガン」という作品を語るにおいて外す訳にはいかない、非常に魅力的な名脇役だったと思います。

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