ガンアクション漫画といえば

  • 2019.01.19 Saturday
  • 00:20

最近何か検索していた時に引っ掛かったものに…確か、人気漫画「ゴルゴ13」を絡めて「M-16 vs AK-47」みたいな事を書いているブログの記事でしたが、記事の最初に

 

「アサルトライフルと言えばまず思い出すのは何だろう?ここでガーランドやシュマイザーを挙げる人はまずおるまい。」

 

みたいな事が書いてあったんですが…当たり前だよなぁ…ガーランド(恐らくはM1ガーランドの事でしょう)はセミオートライフルで、シュマイザー(MP-40の事でしょう)はサブマシンガン。アサルトライフルじゃないんだから、少し銃器に詳しいと自認している様な人だったらアサルトライフルではない銃を挙げる筈がない訳で。

 

さて、古今東西銃器…ガンアクションを題材にした漫画ってのは結構ある訳ですが、そういった漫画の中で強くオススメしたい作品がコレ。

 

村枝賢一 「RED」 全19巻(新装版なら全10巻)

 

村枝先生が「仮面ライダーSPIRITS」の前に描いていたアメリカの西部開拓時代末期を描いた作品です。

 

西南戦争に参加して新大陸に落ち延びた元士族の伊衛郎は、彼が住んでいる町に興行に来たという旅芸人のインディアン(劇中の表記に準じます)レッドと出会う。しかし彼の本当の目的はホワイトリバーでウィシャの同胞を虐殺したブルー小隊のメンバーを見つけ出して殺す事だった。復讐の1人目として町の保安官を殺害したレッドだが、彼に心を救われたと感じた伊衛郎と、町の娼婦・アンジーがその旅に同行する事に…。

 

という、復讐劇です。

かなり骨太な物語で、アメリカという国の生い立ち、暗部と言える部分を強く描写している作品でもあります。西部開拓時代を描いた作品なのに、この作品を読んで以降、いわゆる「西部劇」映画が空虚なものに感じる程の重さがある作品なのですよ。

 

また、ユニークな点が元士族の日本人が登場する点。いや、この手のウエスタンモノに日本人が登場…というのはそれなりにあるネタではあるんですが、面白いのが日本人、侍らしく銃相手に日本刀で…というスタイルではなく、伊衛郎の武器は何と、種子島…所謂"火縄銃"なんですね。それも彼の身長より長い狭間筒と呼ばれるもので狙撃支援…というのが何とも斬新というか、ユニークなんです。実は伊衛郎は刀は不得手で、接近戦では柔術の様な組技を駆使します。伊衛郎は物語…というか、レッドにとってある種キーパーソン的なキャラクターであり、日本にいた頃のエピソードも描かれていたりします。

 

他に仲間となるのは伊衛郎と同じ町にいた娼婦のアンジー。気風の良さと美貌がウリの彼女ですが、ギャンブルに滅法強く、更に銃の扱いにも長けていて曲撃ちまがいの事も出来る…という凄い姐さん。レッドに対して…というよりインディアンに対して偏見がない様に見える彼女…その理由が過去編で描かれています。

 

更に主人公のレッド。彼、最初は銃を使えません。分厚い鉈の様なナイフと、とてつもなくデカくて重いトマホークを使って戦うんですが、本作のトリックスター的なキャラクターで巡回牧師のグレイから渡されたライフル弾を撃てる特殊な機構のオートマチックリボルバー「ヘイトソング」を使う様になります。このヘイトソング、かなりカッコいいんですよ。近接戦闘時は銃身に銃剣よろしくナイフを装着したりとギミックも豊富。密かにトイガンとしてリリースされないかなぁ…なんて思ってしまう一品です。

 

…あ、ちなみに「ゴールデンカムイ」より前に、リスを食べた漫画でもあります。(笑)

 

ただ本作ですが…掲載誌に恵まれなかった印象。元々は「ヤングマガジンアッパーズ」に連載されていたんですが、同誌の休刊により「ヤングマガジン」での隔週連載になってしまったんです。休刊と運命を共に…という最悪な結果にならなかったのは不幸中の幸いですが、いきなり途中…しかも佳境に入ってからの移動なので元々の読者はともかく、移籍したヤンマガの読者には正直「???」だったのかも。それが原因なのかは分かりませんが、後半は若干終わりを急いでいるかのような描写や展開が続いて駆け足気味になってしまっています。当初の予定通り移動とかもなく一貫して描かれたとしたら…と思うと、ちょっと惜しい気がしてしまうんですよ。

 

そして本作の特徴は、あけすけな書き方をしてしまうと…舞台装置は欧米的、白人的な題材なのに、その視点では描かれてはいない、という点でしょうか。主人公はインディアン、黄色人種の移民、娼婦、巡回牧師、黒人…はてまた同性愛者といちた、どちらかというと西部開拓史的には影の側にスポットが当てられていて、それがアメリカという国の現状にすら何か訴えている様にすら感じてしまうんですね。

 

この作品に関しては、中身に関してはあんまり書きません。ただ、レッドの旅の終着点は…報われたかはともかく、救いはあった…そう思いたいのです。

 

「仮面ライダーSPIRITS」もいいですが、もっとコッチも評価して欲しい…そんな気にさせる1本。「ガンアクション」とか「西部劇」といったジャンルに留まらない、重厚かつ骨太な物語…是非、興味があったら読んでみて下さい。

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