命を刻む館
- 2019.01.15 Tuesday
- 00:09
今回はコレ。
テクモ プレイステーション用ソフト 「刻命館」
「影牢」だの「蒼魔灯」といったシリーズ続編も作られ、今ではスマホゲーにもなっているらしいトラップシミュレーションゲームの第一弾です。
ただ、本作は他のシリーズとは一線を画したモノになっていると思うんです。現に、私はこの手のゲーム…というか、「刻命館」シリーズは初代しか受け付けられませんでしたね。それ程、私が求めている方向とは違うベクトルに進化し、一定の人気を得てしまったゲームです。まぁ、そういうのを否定はしませんが…結局私の方がマイノリティなんでしょうけどね、どーせ。
この「刻命館」の概要はこんな感じ。
主人公はゼメキア王国の第一王子。しかし謁見の間において婚約者である隣国エンゼリオ帝国の王女フィアナを連れ帰る旅からの帰還報告をしている最中、父である国王が何者かに暗殺されてしまう。国王殺しの濡れ衣を着せられた主人公は第二王子の弟・ユリウスに火刑に処される。火刑台で呪いの言葉を叫ぶ主人公だが、その瞬間火刑台に落雷、主人公ごと火刑台は吹き飛んでしまう。
主人公が目を覚ますとそこは暗い森の中。悪魔・アスタルテの「刻命館に行きなさい」という言葉通り森の奥にある屋敷・刻命館にたどり着いた主人公は、そこの主・アルデバランと対峙する。アスタロテに従いアルデバランを殺害した主人公は新たな刻命館の主となり、館に封印された魔神を復活させ、自分を陥れた者への復讐の為に「人間狩り」を開始する。
…という、ダークファンタジーです。ちなみに主人公の名前はプレイヤーが設定できるので、私は「キリコ」にしてました。だってヒロインの名前がフィアナですから。(笑)
以降のシリーズがサードパーソンでアクション性とトラップコンボを重視した作りになっているのに対し、本作はファーストパーソンにより展開され、以降のシリーズに受け継がれなかった独自のシステムが多いんですね。例えばトラップ。新たなトラップを開発したりするのは一緒でいが、「刻命館」の場合は殺害一辺倒ではなく侵入者を捕獲する事も可能。そして捕獲した侵入者を使って召喚モンスターを作る事が可能になっています。この召喚モンスターは呼び出すと侵入者を攻撃したり混乱させたりする事が可能。早い話、捕獲を狙わなければトラップ使わず召喚モンスターで侵入者を殺害する事も可能なんですね。
他にも館の増改築等色々あるんですが、基本的に侵入者の行動パターンは単純だし、増改築もやる必要性はあんまり無かったりもします。ゲームとしては、正直後のシリーズがああなったのも分かる気はしてしまうんです。完成度…という点ではイマイチなゲームかと。
でもワタクシ、このゲーム大好きでした。その理由は、このダークかつ陰湿な世界観でアクション主体のゲームながらも物語としてちゃんと成り立っている…そしてマルチエンディングになっていて案外シナリオ自体も面白い、という点に尽きます。
例えば…3面か4面だったかな、病弱の娘の為に刻命館の主…即ち主人公にかけられた賞金目当てにやってくる夫婦とその助っ人がターゲット。夫の方が主人公を発見すると、確か「娘の為だ、許してくれ」等と言ってくるんです。そして3人を返り討ちにすると、インターバルイベントで2人の娘と思しき女の子が出て来て、
「お父さん、お母さん、どこにいったの…?」
…なんてシーンをわざわざ流すんですよ、このゲーム。
他にも分岐にも影響するんですが、主人公の婚約者の処遇…危険を冒してまで主人公に遇う為に刻命館にやってくるフィアナ…彼女も主人公の行動次第で最後まで生存するか、死んでしまうかが決まる上、何と死んでしまった場合は召喚モンスターにする事も出来たりします。ある意味彼女に対する主人公の執着というか、歪んだ愛情を感じさせる展開ですよね。
この様に、結構主人公の行動にプレイヤーの意思が反映される作りなんですね。善良な人間らしい心根を失わないまま進めるも良し、復讐鬼となり魔神復活を目指すも良し、欲望にまみれて悪逆の限りを尽くしても良し…この要素というか、展開が非常に好きだったんですよね、このゲーム。ゲームとしての面白さ、出来という意味では「影牢」とか「蒼魔灯」の方が正直上だと思います。グラフィックだって雲泥の差ですし。でも、この初代「刻命館」のみにある雰囲気…これは本作固有のものなんだと思います。
三角木馬とか脱衣とか、どーでもいいんですよ、ええ。