File10 金田一少年の殺人

  • 2018.11.04 Sunday
  • 21:49

さて、久々の金田一レビューです。

今回は「金田一少年の殺人」…初期シリーズでも名作との呼び声高いエピソードですね。

中身はこんな感じ。

 

悲恋湖の事件で知り合ったフリーライターのいつきの願いで、軽井沢に屋敷を構える大物作家・橘五柳の新作の版権をかけた暗号解読ゲームに参加する事になったハジメと美雪。ハジメは橘と一悶着起こしてしまい、夜彼の部屋へ謝罪に行く事に。帰りが遅いハジメを心配した美雪やいつきは橘の部屋を訪ねると、そこには橘の死体と血の付いた凶器を持ち立ちすくむハジメだった。

状況から警察はハジメを犯人と断定、連行しようとするが隙を見てハジメは逃走、自分を罠にはめた「見えざる敵」の正体を見破る為、警察の追尾を掻い潜りながら謎を解き明かす。

 

…という、今までとはかなり趣向を変えたエピソードになっています。

舞台は閉鎖された山荘や洋館、絶海の孤島とかではなく、ハジメの行動範囲がかなり広域になっていたり、警察が基本的にハジメの敵となり逃走しながら推理を展開していく、というのが中々スリリングな一本。事件のキーとなるであろう橘の暗号解読をしていく最中、ハジメがキーワードを聞いた相手が直後次々と殺害され、その容疑もハジメに向けられていく…というのはサスペンスドラマとかで結構見られる手法ではあるんですが、ドラマとしては面白いですね。

 

しかし、警察に追われている身でありながらハジメが美雪にケーキをプレゼントするシーン…普通なら「そんな事やっている場合じゃなかろう」という気もしますが、同時に如何にハジメが彼女を大切に思っているかが良く出ているエピソードかと。確かに器量よしで性格も良い幼馴染がいたら、少なくとも邪険には出来んわな、男なら。ちなみにハジメと美雪の関係、20年後でもあまり進展がない事が「37歳の事件簿」で描かれてますね。ちなみに37歳になったハジメはあるブラック企業の主任、一方美雪は大手航空会社のチーフパーサー。2人とも独身です。関係は悪化している訳ではないようですが、美雪の仕事の都合で若干疎遠気味な様子。それでも頻繁にLINEのやりとりはしている様ですが。ちなみに、番外編ではないですが「37歳」の方のレビューもしていこうかと思っています。現在進行形の作品の方が書きやすいですしね。

 

他にもいつきさんの意外な面倒見の良さ、交友関係の広さ…しかも「いつきの頼みだから」という形でハジメに協力する同業者もいたりと人望の厚さが描かれていて、「悲恋湖」冒頭での印象が大きく変わりますね。それからハジメと明智警視との連携も描かれたりと、何だかんだ認め合っているのが分かるエピソードです。佐木弟の初登場だったりと、何気にオールスター的な要素がある豪華な一本になってます。

 

あ、トリックに今の若い子は???なポケベルが使われていたりするのにはなんだか時代を感じます。(笑)

 

ただ、今回の犯人の都築さん…橘の暗号に関わった人間までどんどん殺していく様はなんというか…やり過ぎじゃ…と思わなくもなかったり。元は善良な人格者で立派なジャーナリストだったと言いますが…う〜ん…。

なんだか、「逆転裁判」の「蘇る逆転」に登場(回想で)するSL-6号事件の犯人・青影丈に近い物がある気がします。最初は交通事故で人を殺めてしまい、その死体を埋めようとしたら目撃されその目撃者を殺害、それも目撃されていてその目撃者も…というのに似ている気がしますが、都築さんの方は明確に殺意を持って、やむなくではなく殺しているので娘さんの事はあるとしても、シリアルキラー的な素養が実はあったのでは…なんて思ってしまうんですわ。

 

今回の犯人

都築哲雄…犯人強度 500万パワー

病に苦しむ娘の為に臓器売買に手を染め、それを発表される事を阻止する為に殺人を犯した男。元々は人格者で立派なジャーナリストだったというし、犯行の動機も同情の余地がある風に見える。但し、然程必要と思えない人物まで殺めており、そこに生来の凶悪さが見え隠れしている気がしないでもない実はトンデモナイ人物。

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