何故異星の軍の装備がWW2の米軍兵装なのかは謎

  • 2018.08.17 Friday
  • 19:15

本日はコレ。

 

高田慎一郎 「放課後アサルト×ガールズ」 現在5巻まで発売中(写真は1巻)

 

突如異世界に飛ばされた1クラス40名の女子高生が狐人の狸人の戦争に巻き込まれ、不思議なコンパクトで魔法少女ではなく兵士に変身して銃を取り戦う、という異世界召喚モノです。異世界召喚ネタのお約束としてゲームチックな設定がその世界観で現実とされている、という要素はあれど、最近流行りの「小説家になろう」から続く、主人公がチート能力を駆使してオレ強えー…という類の作品ではありません。

 

そしてゲーム的な要素はあれど、その要素と言うのは「ドラクエ」的なRPG的な…レベルだのスキルだのステータスだのというモノではなく、コンパクトを使って兵種を決め、その兵種ごとの特性で戦うという点。その兵種は4種類で、それぞれ

 

突撃兵(アサルト)…主力となる兵種で身体能力にボーナスあり。命は3つあり1日に2回までは死んでも復活できる。

工兵(エンジニア)…爆発物や建築の能力が得られる。また3トンまでの物資を圧縮して持ち運ぶことが可能だが命は1つ。

偵察兵(スカウト)…偵察や監視を主とし、足跡等をトレース可能。狙撃も得意。命は1つ。

衛生兵(メディック)…医療キットを用いて負傷者を短時間で治療できるが基本的に戦闘は不得手。命は3つ。

 

となっており、チート主人公にありがちな兵種の掛け持ちとかは不可。また主人公達にはバリア的なモノが張られており、許容内なら服だけが消し飛び怪我などは負うことが無い、兵種によっては戦死しても復活アリ…といった所はゲーム的な要素が強くなっています。言ってみれば、特殊ルールアリの「FPS」とかサバイバルゲーム、と言った感じでしょうか。

 

ただ、命がけの戦闘行為である事は強く描かれており、例えば敵からクラスメイトを守る為に最初に変身した主人公・綾子が何も訓練されていない素人故に銃もロクに撃てずあっという間に2つの命を失ってしまったり、グアム旅行に行った際に実銃を撃った経験があり銃器に関しての知識も多少持ち合わせているキャラクターでも中々敵に命中させることが出来なかったり…と、細やかな所でリアリティのある描写があったりします。いきなり変身したからと言ってチート的な活躍はしないんですね、本作の場合。

 

そして、主人公達のゲーム的な設定と言うのが「得てして彼女等を戦場に呼び込んだ者がそういう風にしているのでは?」と思わせる描写…例えば敵の主力はイヨガミと呼ばれる戦死した兵を使った傀儡、言わばゾンビ…故に殺害に対しての躊躇や嫌悪感を薄めている点や、傷を手当てしなくてはならない衛生兵以外には負傷した傷がぼやけて見える点、アイテムボックス的な工兵の特性もそういう要素はあるんじゃないかと。更に極めつけは、最も前線に立つ突撃兵やその治療を受け持つ衛生兵は死んでも2回まではリセット可能、という点。敢えて人殺しである戦闘行為をゲーム的なモノとして拒絶してしまわない様に作為的に「そうなっている」風に見えてきます。コレは5巻辺りから徐々に作中でも語られ始めた様な…。

 

まぁ、上記の点はワタクシの個人的解釈ですので、正解かどうかは6巻以降次第ではあります。でも展開、進展は遅いんですがじっくりと話を作っている…と私は信じたい。(笑)

勿論、女の子の戦うミリタリーモノと解釈しても良いでしょうし、実際パンターとの対決シーンなんかは結構迫力ある戦闘が展開されてます。地味系なキャラクターデザインながら描き分け、個性分けはキッチリしている女の子目的でもいいでしょうし、もっと言えば狐耳萌え〜でもいいと思います。ただ展開の遅さはネックではあるので、その辺がテンポの良さとか求めちゃうと厳しいかも。

 

ともあれ、今後に期待したい作品です。

小林源文氏の作品とかが好きなコアなミリオタにはナンパな感じがして不向きかと思いますが、ライトな層…それこそ「ストライクウィッチーズ」とか「ガールズ&パンツァー」「艦隊これくしょん」辺りでミリタリー系に興味持った、なんて人には丁度いいかも。

 

ちなみに、何で異星の戦争なのにWW2の米軍装備(敵はドイツ兵装)?というのは…作者の趣味なんでしょうね。

この作者である高田慎一郎氏、特にM1ガーランドへの思い入れが強い様で、本作以外でもヒーロークロスライン作品「青の橘花」では主人公の仲間に「スケベな妄想で.30-06弾を生成する事が出来る狙撃の達人」がいて、この人が.30-06弾を使える銃としてM1ガーランドを愛用していたり、異世界でオートバイ程の小型飛行機の訓練生を描いた「ククルカン 史上最大の作戦」という作品でも、装備品としてM1ガーランドそっくり…というかそのものの小銃が登場してます。

 

本作でもM1ガーランドを始めとする装備品の描写は細かく、好きな人にはたまらないんじゃなかろうかと。各単行本にはブリスターパックに入った各キャラクターのフィギュア、的なイラストが扉にあって、ここでも装備品へのこだわりが見て取れます。でも私が好きなM1カービンとかM3サブマシンガンは無し。…いや、「MEDIAGUN DATEBASE」よると、サキの回想シーンでM1カービンは登場しているらしいんですが…どこだ?(苦笑)

 

それと、疑似的な翼で空を飛んで戦う女の子…というものにも強い思い入れがある様で、「神様のつくりかた」「ACLLA」「青の橘花」「少女政府」等、私が知る限り4作品、そういう描写がある作品を手掛けてますね。

 

ともあれ、世間的にはあんまり知られていない&評価も高くはない作品なんですが、個人的に応援したい1本なのです。

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