土建屋探偵シリーズ17 建設小町純子の推理日誌 再開発事業に潜む殺意の連鎖 夜の現場に消えた死体と敏腕所長の隠された過去

自己満足ブログ
File.30 雪霊伝説殺人事件
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    久々の「金田一少年」読み直し、今回は「雪霊伝説殺人事件」です。

    事件のあらましはこんな感じ。

     

    いつも通り授業中に居眠りしているハジメは、死んでしまった佐木竜太の夢を見る。今までも何度か佐木1号が夢に出て来たことがあり、その都度事件に巻き込まれているハジメは嫌な予感しかしない。そんな中、ハジメの自宅に弁護士の黒沼と名乗る男が訪れる。黒沼はハジメにある資産家の財産相続の権利があるので、相続する気があるならその条件として、指定された日に氷壁岳の5合目にある山小屋・雪稜荘に行き、他の相続者と親睦を深める事を求められる。1億もの遺産に目がくらんだハジメは強引についてきた美雪と彼女が呼びつけた剣持と共に雪稜荘を訪れる。しかしそこで無残な殺人事件が発生し…

     

    …とまぁ、「金田一少年」では割と頻繁に舞台になる山奥の山荘とかが舞台の殺人事件ですね。

    ちなみにハジメが遺産相続者に指名された理由と言うのは、自転車放浪中にある山で知り合った老登山家が持っていた地図に「空白補完効果」による危険性を指摘し、遭難したかも知れない状況を未然に防いだという小さな親切。「空白補完効果」ってのはアレだ、グラビアアイドルの水玉コラみたいなもんですわ。

     

    さて、今回の犯行ですが…中々にエグイトリック使ってます。

    かなり残虐な所業ではあるんですが、現実世界の殺人事件でもトリックとかの為と言うのは流石にないと思いますが、死体の運搬や処理の為に似たような事をした殺人事件というのはありますし、もっと言えば自らの猟奇趣味を満たす為に死体を損壊するケースも枚挙に暇がない訳ですが、少年誌連載の漫画に使われるトリックとしてはやはりかなりのエグさです。

     

    このトリックに似た手法ですが、実は先日新型コロナの影響で連載50年にして初めての休載が決まった「ゴルゴ13」で使われています。しかも使われたエピソードと言うのが、ゴルゴの出生の秘密を描いたエピソードの1つでシリーズでも屈指の人気を誇る「芹沢家殺人事件」です。この「芹沢家殺人事件」はミステリ物としても実に面白いエピソードになっているので、気になった方は是非。

     

    さて、上記のトリックもあってかトリック解明の難易度はかなり高いエピソードかと思います。ただ犯人の特定は割とあからさまなダイイングメッセージがあるせいで分かる人はピンときます。ただ…今回も「金田一少年」でたまにある「見た目から怪しい奴がホントに犯人」というパターンなので、ダイイングメッセージにたどり着いても一端疑ってしまう傾向はあるかもしれませんね。

     

    あ〜、後ネタ的に面白いのが、これまでの登場エピソードでは年相応…それでも割と若い風貌だったハジメの母ですが、さとうふみや氏の絵柄が変わったあおりでかなり若返ってます。

     

    この通り、ハジメの姉、と言っても通用してしまう感じに。

    正に美魔女、整形を疑うレベルです。(笑)

    ついでに超がつくレベルの余談ですが、今回の犯人と同姓同名…漢字までまるっきり同じ岩手県の市議におられます。

     

    コミックスでは尺が余ったのか、前後編の短編「速水玲香と招かざる客」というエピソードが入ってまして、アイドル速水玲香の船上パーティーに紛れ込んだ脱獄犯のエピソードです。美雪不在のエピソードなので玲香がかなり積極的なのが印象的ですね。

     

    …やっぱり、地獄の傀儡子(笑)不在のエピソードの方が好きだなぁ…私は。

    あ、雪霊タカハシのオチもベタではあるんですが、結構好きですこういうの。ミステリでオカルト絡ませるのは私はむしろ好きですが、賛否あるんでしょうけどね。でも今回のコレは事件とは無関係な部分でしたし。

     

     

    今回の犯人 黒沼繁樹 …犯人強度 150万パワー

    トリックにかなり猟奇的な手法を使う大胆さと、次生を利用して犯行に協力させ、一度は完全にハジメをミスリードさせた手腕は高く評価して良いかと。犯行に走るに至ったバックボーンも悲劇的。

     

    今回の犯人(「速水玲香と招かざる客」) 20万パワー

    短編とはいえ、流石にずさんかつミスが多過ぎる犯人。2千円札の件とか、ムショに入っていても完全に情報が遮断されている訳でもない筈なので、領収書の上様同様、本人の無知が原因かと。

    | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 19:22 | comments(0) | - |
    File.29 獄門塾殺人事件
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      久々の「金田一少年」読み直し、今回は「獄門塾殺人事件」です。シリーズでも屈指の反則キャラ・森宇多子さんでお馴染みの「首吊り学園殺人事件」と同じような舞台設定ですが、あっちは予備校、コッチは学習塾と差別化?されています。

       

      美雪と草太がハジメの成績アップ…というか留年阻止の為に不動山市にある有名学習塾・極門塾の合宿に参加させようとする。人呼んで「獄門塾」とも呼ばれる厳しさからハジメは嫌々参加するが、実はその合宿会場は「地獄の傀儡子」こと高遠の記した犯罪ガイドマップに記されていた場所だった。この犯罪ガイドマップを受け取ったもう1人の人物…警視庁の明智警視も高遠の企みを阻止する為に合宿に講師として参加する事に。今、獄門塾の2つの合宿所を舞台としたハジメ&明智警視と高遠の対決が今、始まる。

       

      …まぁね、「金田一少年の事件簿」における高遠は「名探偵コナン」における黒の組織、「少年探偵団」における怪人二十面相みたいなものですから、仕方ないとはいえ…正直、好きじゃないんだよなぁ…高遠。(苦笑)

      「金田一少年」読み直し、なんてコンテンツやっておいてこんな事言うのもアレかも知れませんが、私は「金田一少年」は高遠が絡んでない事件の方が好きですし、面白いと思うのですよね。

       

      さて、この「獄門塾殺人事件」ですが、やっぱりこのシーンですね。

       

       

      「誰が殺した?クック・ロビン」というのは、イギリスの伝承同様「マザー・グース」の一節で、クック・ロビンとはヨーロッパコマドリの事。ミソサザイと結婚したヨーロッパコマドリがスズメに殺されてしまい、その葬儀を鳥たちが開くという内容の童謡。ただ、日本の40代以上の人にはこのフレーズを聞いて思い出すのはコッチなんじゃないかと。

       

      クックロビン音頭

       

      「翔んで埼玉」が話題になった魔夜峰央先生の代表作「パタリロ!」のエンディング曲ですが…今聞いても意味が分かんねぇ。(笑)

      ちなみに「翔んで埼玉」って実は80年代に描かれた作品なんですよ、ええ。

      …埼玉県民は地元をディスられてもあまり気にしない県民性。せいぜい乾いた笑いを見せるだけです。(笑)

       

      さて、今回のトリックは「十津川警部シリーズ」の時刻表トリック的な、文系と理系で分けられた2つの合宿所それぞれの時間割が大きくトリックに関わってくるのが特徴。ハジメと明智警視の共闘など見どころが多い事件ではあるんですが…如何せん高遠がね。コイツ、一応逃げおおせてはいますし明智警視なんか自分達が醜態を晒している等と言ってますが…今回逃亡のトリックまでアイツ、見破られてるんですよね。むしろ醜態晒しているのは高遠の方に見えるんですよ、私には。この男、天才犯罪者だのと呼ばれ、頭の良さを売りにしている割に、今回逃げおおせたのは知略ではなく腕っぷしのおかげという…。(苦笑)

       

      高遠って色々屁理屈たれてますけど結局ハジメに全敗でしょ?そりゃ「金田一少年の事件簿」はハジメが主人公な訳で、しかもミステリとかサスペンスに分類される作品ですから、最後は犯人のトリックがハジメに暴かれて終わる…必然的にライバルキャラが負けが込むのは理解できます。主人公が負けっぱなしでトリックが暴けませんでした…ではそもそも話が成立しませんからね。

       

      ただ、高遠の場合は「犯罪を他人にやらせている」にも関わらず、「その犯罪がハジメと自分の勝負」だと主張…そのクセ負けると「負けた理由を実行犯のせいにして自分の負けではないと言い張る」という…まっことカッコ悪いキャラクターになってしまってます。達者なのはマジックと屁理屈だけ。しかもこの「獄門塾」では明智警視に得意の責任転嫁を「見苦しい言い訳」と片づけられ、ハジメには逃亡時のトリックすら見破られる始末。そして次第に直接対面すらしなくなる有様…いや高遠って、正直失敗キャラだと思うんだよなぁ…。高遠出して、ハジメとの対決という構図にするせいで、実際に殺人に走った犯人の"理由"とか"心情"の描写が削られている面もある筈。

       

      それでいて人気はあるんだよなぁ…人の趣味にケチ付けられる程私は件全じゃないんですが、高遠の人気は不思議で仕方ないんですよねぇ…。

       

       

      今回の犯人 濱秋子&氏家貴之 犯人強度…180万パワー

      濱はかつて家庭問題と今回の事件の被害者達から受けたいじめにより自殺しようとした所を藍野に救われたが、いじめグループの策略により藍野を自分が殺めたと思い込んでいる。氏家は実は藍野の実の父親、という共犯関係。2人が殺害したいじめグループの連中は極悪非道であるが、2人の動機が高遠のでしゃばりによって目立たなくなってしまっているのが無念。

       

      今回の高遠…-50点

      トリックを見破られた後のお約束の「負けていない」宣言と責任転嫁、トドメに得意のマジックを用いた逃亡すら見破られるという醜態続き。この後も作品の裏でばかり天才犯罪者としてのキャラクターが虚飾されていく様を見ると、もういっそこのエピソードで明智警視の銃弾に倒れていた方が良かったのでは?と思ってしまうレベルの体たらく。とにかくカッコ悪い。

       

      | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 21:29 | comments(0) | - |
      File28 オペラ座館・第三の殺人
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        はい、「金田一少年」読み直しです。

        今回は三たび登場のオペラ座館を舞台にした事件。ちなみに「37歳の事件簿」でも社会人となったハジメを描いた最初の事件の舞台として登場する等、原作側の「オペラ座館」への拘りが伺える…と、言いますか、恐らくは「オペラ座の怪人」という物語やファントムというキャラクターに思い入れがあるのかもしれませんね。

         

        さて、内容はと言いますと…

         

        2度も凄惨な事件の舞台となってしまった伊豆沖にある歌島にある洋館・オペラ座館。かつてこの洋館のオーナーだった黒沢和馬の逝去に伴い、黒沢の教え子達に彼を偲ぶ為の公演が行われる事に。この公演に招待されたハジメ、美雪、剣持の3人だったが、またしても殺人事件が起きてしまう。

         

        …とまぁ、こんな感じ。

        真犯人はかなり用意周到で、数多くのトリックを駆使しています。コレは歴代の「金田一少年」でもかなり多い方かと。但しそれがミステリ、犯人当ての障害になるか?と言えば実はそうでもなく、この事件の場合は逆にそれぞれのトリックに対し、作劇の上でフラグの様な"フリ"が行われているのでそれに気が付いてしまうと犯人特定自体は割と簡単な部類な気がしますね。

         

        しっかし…事件とは無関係なんですが…2期とでもいうんですかね、前回の「吸血鬼伝説殺人事件」から明らかにタッチが初期シリーズから変化してますね。ハジメや剣持さん辺りは目立たないんですが女性キャラクターはそれが顕著かと。そのあおりを食っているというか、変化が際立って目立っているのはやはり基本シリーズ出ずっぱりなヒロインの美雪ですかね。連載当時はさして気にならない…というか、この辺のエピソードは年イチ位の不定期集中連載だったので気にも留めていませんでしたが、改めて見ると変わりっぷりが結構凄い事に。

         

        左:「オペラ座館殺人事件」の美雪

        右:「オペラ座館・第三の殺人」の美雪

         

        顔立ちだけでも違いは一目瞭然ですね。2期以降の美雪はスレンダーながら出る所は出ていて、それでいて顔立ちがやや幼く正統派美少女的な描写になっている印象。でも、個人的にはやや肉付きが良いむっちり体形気味で美少女過ぎていなかった美雪の方が親近感というか、愛嬌のある幼馴染感があってよかったと思うのです。まぁ、私の趣味ですが。(笑)

         

        ともかく、今回のエピソードは他の「オペラ座館」と比べても「オペラ座の怪人」という物語、もっと言えばその登場人物たる怪人・ファントムにかなり重ねた印象になっているのが特徴。犯人と目されるファントムの正体とされた霧生鋭治…真犯人の犯行の理由でもある彼ですが…凄い男ですよ、ええ。惚れた女を燃え盛る合宿所から命がけで救い出し、役者としては致命的な顔面の火傷を負ってしまう。そんな彼をファントム役に起用したいという申し出…自身の姿を客寄せに使う様なオファーを惚れた女の才能を信じ彼女の飛躍の為に受け、自らはその舞台を最後に彼女から身を引こうとする。そんな女が自身に好意を持ち駆け落ちまがいの行動に出た際も、時機を見て彼女の前から姿を消そうと考えていた…。

         

        愛です。無償の愛という奴です。そりゃ彼女も惚れるわな。

        「金田一少年」にて題材とされる犯行の理由「復讐」…犯人が凶行に走るに至った理由である人物(大抵故人)は聖人君主といいますか…非の打ち所の無い人物、善人であるケースが殆どですが、その中でも霧生鋭治は「男としてのカッコ良さ」という点ではかなり上位だと思うのです、ええ。そのキャラクター設定は「金田一少年」ではなく「北斗の拳」で描かれてもいいレベルかと。

         

        そんな霧生の声をアニメで当てたのはアムロとかタキシード仮面とか「ジーグブリーカー!死ねぇ!」でお馴染みの古谷徹さん。

         

        …前回の「金田一少年読み直し」でこんな事書いたんですよね、私。

         

        もしかしたら彼女が憧れている人が登場したら、声を古谷徹さんが当てていて緋色とはライバル…なんて設定になっていたかもしれません。

         

        …惜しい!!あと一話早ければ。(笑)

         

        今回の犯人 湖月レオナ…犯人強度 150万パワー

        虫も殺せない様な可愛らしい顔で用意周到、かつ狡猾なトリックを幾重にも使ったかなりの強敵。その本気度の高い計画は彼女がいかに霧生という男を深く愛していたか、そして彼を身勝手な理由で奪った3人への憎悪が強く伺える。しかし霧生への好意を決定づけた火事による自身の火恐怖症が足を引っ張る事に。電池を落してしまうトラブルは、もしかしたら天国の霧生が彼女の犯行を止める為に起こしたのかも…。

        | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 11:54 | comments(0) | - |
        File27 吸血鬼伝説殺人事件
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          はい、久々の「金田一少年」読み直しです。

          ホントは時系列というか、発表順に言うと今回の「吸血鬼伝説殺人事件」の前に「ショートファイルシリーズ」というのがあるんですが、コミックスを現状所持していないので取り合えず飛ばして通常ナンバーのシリーズを継続します、はい。

           

          …今まで「ショートシリーズ」の存在を忘れていた訳じゃないんだからね!!(笑)

           

          さて、今回の「金田一少年」はこんな感じ。

           

          ハジメが自転車旅に出てから一カ月、美雪の元にハジメから手紙が届く。手紙には秋田県の舞蘭村の廃墟風ペンションで美雪、剣持警部と落ちあおうという内容。美雪は手紙の指示通り、旧友の貴船が働く廃墟風ペンション・ルーヴィンに予約を入れる。この村は吸血鬼の伝説が広がった事で村人が村を離れ、廃村同然となっている村だった。ハジメと再会を果たした美雪だが、美雪はその晩、吸血鬼にさらわれてしまい…

           

          と、いう事で大体年1回の不定期集中連載による新シリーズ開始です。何だか「探偵学園Q」に絵柄が寄ってしまっていて違和感を感じます。(笑)コミックス1巻分なので、Caseシリーズの短い方程度のボリュームですが、その割に美雪のサービスカットが多いエピソードになっているのが特徴。怪人が今回「吸血鬼」であり、吸血鬼に生き血を吸われた美しい少女…というのが今回の美雪の役回りだからかも知れません。

           

          今回のエピソード、大掛かりなトリックは美雪の状況や行動に関係していますが、重量制限付きのエレベーターやゴンドラ、というのは「金田一少年」では割とありがちな舞台装置。コレが出て来てしまうと故に重量により本来使えない筈のエレベーターを何とかして使う方法を考えなさい…と提示されているようなものですから、推理モノとしての難易度は些か下がってしまうかと思います。というより今回のエピソード、状況が積み重なって犯人が割と簡単に特定できてしまうので、犯人探しとかやトリックの謎解きを重視して読んでいるファンには正直、物足りないエピソードかと。

           

          あ、犯人が凶行に及んだ理由ですが…何となく「スーパードクターK」のKAZUYAの母・西条杏子のエピソードに似ている気がしますね。

           

          ともあれ、今回のエピソードは新シリーズの序章であり、状況説明という意味合いが強いんでしょう。ハジメが自転車旅をしている理由が最後明かされます。まぁ、アイツな訳ですが。(苦笑)

           

          あ、今回の怪人当て馬役の緋色啓介という人物…当て馬と言うだけでなく被害者達の過去の所業や犯人が凶行に及ぶ理由に深く関与する人物ですが、アニメ版で彼の声を当てたのは名前とは裏腹に緑川光さんではなく池田秀一さん。緋色だけに「赤」にちなんだのかもしれません。更に言うと犯人の声は「月に代わってお仕置き」する人。もしかしたら彼女が憧れている人が登場したら、声を古谷徹さんが当てていて緋色とはライバル…なんて設定になっていたかもしれません。いや、冗談ですが。

           

          という事で、些か事件としては今までの「金田一少年」でも割と印象の薄いエピソードに思います、はい。

          物語の展開が構造的に「魔犬の森の殺人」にソックリなのもその原因かも。

           

           

          今回の犯人 湊青子…犯人強度 40万パワー

          今回犯行に美雪を利用したが、それは本来トリックに利用しようとしていた人物がある理由により利用できなくなってしまった為。かなり行き当たりばったりに感じてしまう。しかも本来美雪は今回の事件には全くの無関係。そんな人物を利用するにしても、やり口が結構酷く、犯人にあまり同情できない一因になっている気がしてしまう。エピソード的には最後、良い感じに終わったものの、この件に関してはもっとハジメは怒るべきだと思うし、糾弾すべきだろう。

          | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 01:28 | comments(0) | - |
          Case7 金田一少年の決死行
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            はい、そういう事で「金田一少年」読み直しもCaseシリーズ最後のエピソードになりました。

            中身はこんな感じ。

             

            いつきに呼び出され1枚の新聞広告を見せられるハジメ。それは香港で行われるマスクマンというマジシャンのマジックショーの広告だった。実は明智警視はこのマスクマンと会っており、その正体は"地獄の傀儡子"こと高遠だというのだ。美雪や佐木を連れ立って香港に飛んだハジメだが、ハジメはマスクマンの観客代表としてステージで催眠マジックをかけられる事に。その場はハジメのハッタリで失敗したかに思われたが、その後ホテル内で発生した殺人事件現場近くで1人ふらふらと歩くハジメが目撃される。旧知の李刑事のおかげで容疑者とはならずに済んだハジメ。しかし翌日、今度はハジメが明智警視をナイフで刺す所を美雪と李刑事が目撃してしまい…。

             

            ハジメが犯人の罠にかかり殺人犯として警察に追われる…という、「金田一少年の殺人」に近い設定のエピソードで、今回はCaseシリーズラストという事もあり、舞台は海外の香港、しかもキャストもグランドフィナーレではオールスター総出演になっているのが魅力の1本。ただ、ノベル版が初出のキャラクターである楊小龍や李刑事がハジメと"旧知"として登場するので、私の様に漫画のみで他のメディアでの「金田一少年」を知らないと若干面食らう部分はあります。

             

            しかし、前回はスカーレット・ローゼスなんて気取った名前使っていた高遠ですが、今回は「マスクマン」という身も蓋もない名を名乗ります。まぁ、「マスクマン」というと…

             

            ♪気! 気! オ〜ラパ〜ゥワ〜 見せてやるんだオ〜ラパ〜ゥワ〜

             

            …でお馴染みのコッチ思い浮かべてしまいます。ホラ、「風雲たけし城」の攻撃部隊隊長役やってた谷隼人さんが隊長役やってたアレ…って、今の若い子は「マスクマン」どころか「風雲たけし城」も知らないよね。(笑)

             

            さて、今回最大の見どころは、ハジメのこの台詞にあると私は思うのです。

             

            この台詞、私の高遠というキャラクターへ思いを代弁してくれてるんですよ。(笑)

             

            高遠というキャラクターは、ハジメにとって間違いなくライバル格のキャラクターではあるんですが…何だろ、難しいキャラクターなのかも知れません。"犯罪芸術家"という彼の肩書や言動に偽善的なものを排した一種のダークヒーローの姿を見る人もいれば、彼の言動がいちいち引っ掛かり、"犯罪芸術家(笑)"と嫌う人もいる…ライバルキャラクターなんてそんなもんだ、と片づけてしまうのは簡単ですけどね。

             

             まぁ、私が彼を嫌う理由は単純なんです。別に彼の行動を悪だの何だのと正義ぶる気はないんです。色々偉そうな事言ってますが…自分で完璧に事をなした事はなく、ただ逃げおおせただけなのに事あるごとに尊大な態度で偉そうな事をほざくのが嫌いなのです。「侍ジャイアンツ」の初期EDみたいな感じですよ、ええ。

             

            余談ですが、上の画像でハジメが口ずさんでいるのはヒロシ&キーボーの「3年目の浮気」という歌。

             

            こういう歌。(本編の動画は曲そのものやアーティストには直接的な関係はありません/笑)

             

            実はこの「3年目の浮気」には、さだまさしさんの「関白宣言」に対する「関白失脚」の様なアンサーソング「5年目の破局」、続けて破局の原因となった浮気現場を唄う「危険なクラス会(7年目の洒落)」という曲があったりします。更に、「さんまのスーパーからくりTV」の替え歌でこんな歌を唄った事も。

             

             

            殆どヒロシ&キーボーのネタになっちゃってて、エピソードの中身にほとんど触れてないなぁ…まぁ、グランドフィナーレも含め、大団円という事で宜しいんじゃないでしょうか。トリックとかそういう点では…割と犯人特定は楽な部類かと思います、はい。

             

            今回の犯人 周龍道 犯人強度…50万パワー

            高遠の出しゃばりのせいで、犯人なのにハジメの逃亡をほう助したり、極限状況に置かれていた為に実年齢22歳なのに10歳位の容姿だったりという特徴があるにもかかわらず…何だか印象が薄い気が。高遠の指示でハジメと行動を共にするうちに情が移って高遠に直談判するなど、殺人犯としていは優し過ぎる印象。勿論それは人間としては美徳だが。

             

            今回の高遠…15点

            貼った画像のハジメの台詞に集約されます。何やっても「負け犬の遠吠え」と言いますか、「引かれ者の小唄」と言いますか…。

            死んだふりして逃亡ってパターン、もう止めれば?

            | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 21:17 | comments(0) | - |
            Case6 怪奇サーカスの殺人
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              昨日、「悪魔の手毬唄」がやってましたね。主演のジャニタレとかつて金田一を演じた古谷一行さんで新旧共演、なんて話題にもなってましたが、ジャニタレの金田一耕助は、演技云々以前に何と言いますか…「不潔さ」が足りないと思うのです。

               

              さて、今回は「悪魔の手毬唄」放送にちなんで久々の「金田一少年」読み直し。今回のエピソードの中身はこんな感じ。

               

              ミス研の合宿の下見の為に、伊豆諸島の茜島を訪れたハジメ達。そこには奇抜なメイクでショーを見せるサーカス団「ゴブリンサーカス」がリハーサルの為に滞在していた。サーカス団の倉庫に何者かが侵入し荒らす騒動が起き、倉庫には巨大な足跡と「MOMSTER IS BACK」という文字が残されていた。「MONSTER」は1年前の事故で行方不明となった団員の名前だった。「MONSTERが帰ってきた!?」後ろめたい事でもあるのか、不安な表情で口を閉ざす団員達。折しも台風の接近で島からの脱出が出来ない中、団員のピエロの1人が遺体となって発見される。

               

              というもの。舞台が絶海の孤島…所謂「クローズドサークル」という奴ですね。

              今回のエピソードの特徴として、ハジメが割と影が薄い点でしょうか。ミステリ…トリック云々ではなく、物語としての軸はハジメ達についてきた二三であり、犯人を暴くのもハジメのサポートはあれど彼女が行っています。しかもその相手は島で出会って二三が密かに好意を寄せていた人物…まるで祖父・金田一耕助の…「女怪」でしたっけ?の様なキツイ役回りとなっている訳ですね。ただ相手に死なれてしまったじっちゃんとは異なり、同様に自殺を図られるもある人物により救われ、以降も交流は続きそうな終わり方になっているのは救いかも知れませんね。

               

              さて、このエピソードの犯人…ネタバレしてしまえば…って、もうずいぶん古いエピソードなのでもう問題ないと思いますが、小椋乃絵留、顕人の姉弟です。その年齢、何と14歳と12歳。顕人の12歳という年齢は「金田一少年」歴代最年少記録です。しかも主犯格は弟・顕人の方で、姉の乃絵留はサポート的な役回りとなっています。現実世界でも酒鬼薔薇聖斗とかは14歳でしたし、若年層の凶悪な殺人事自体は現実でもあるにきはあるんですが、複雑なトリックを考えて復讐を企てる…というのは中々現実では…。それもあってか主犯格の顕人は割と分かり易いものの、協力者の乃絵留に関しては決定的な証拠がなく、またミスらしいミスもない為に話のスジから犯人を読み取る様なスタイルではなく、真っ向勝負では難易度が高いんじゃないか…というより、実はハジメも乃絵留に関しては断定出来ていなかったりしますからね。

               

              そして最後。

              このエピソードの怪人「MONSTER」ですが…生きてました。「金田一少年」の場合、犯人の異名的に怪人の名が当てられますが、それは伝説とか伝承によるものだったり、実在していても既に故人だったりするケースが殆どですが、今回の「MONSTER」は1年前の事故…というより殺されそうになったんですが、記憶は失ったものの助かっていた…つまり、怪人が実在したという珍しいエピソードになっています。犯人の年齢とか境遇から、何とか最後に救いを持たせたかったという配慮なのかも知れませんね。

               

              今回の犯人 小椋顕人&乃絵留 …犯人強度 180万パワー

              12歳という年齢がやはり凄い。同じような年齢の子供が現実でも殺人自体を企てる事はある訳だが、犯行の目的、理由が存在し、トドメにちゃんとした目的よく出来たトリックまで考えて…いうのはやはり抜きんでた存在と言えるかと。ただ、犯行目的自体は言葉は悪いがマトモであり、異常性からのものではないのは救いか。

              | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 10:38 | comments(0) | - |
              Case5 露西亜人形殺人事件
              0

                はい、久々に「金田一少年」です。

                今回は露西亜人形殺人事件。Caseシリーズでコミックス2巻の尺を使う長編の1本で、キバヤシ氏(笑)曰く、「原作者一押しの最高傑作」なんだそうで。

                 

                 

                …さて、内容はこんな感じ。

                ハジメの後輩・佐木弟が勝手に「金田一はじめ探偵事務所」なるHPを開設する。HPには金田一の知人のフリーライター・いつきからの依頼が。いつきが世話になっている常談社の編集・宝田の担当がどういう訳か彼が担当していたミステリ作家・山之内恒聖が故人となり、彼の残した莫大な遺産の相続人候補に宝田が指名されていた。遺産相続の候補者は山之内の別荘・露西亜館にて相続者を決めるゲームに参加する事になり、その宝田はその謎解きをハジメに依頼する。

                宝田とハジメ達いつものメンバーは北海道の露西亜館に向かう。そこには宝田以外の相続候補者4人が待ち構えていた。ゲームが始まると5日間は館から出る事が出来ない。そんな中、遺産相続候補者が次々と「前から順に首を刈られた」という暗号に見立てて殺されていく。

                 

                ミステリの常道と言うべきクローズドサークルという奴で、洋館の中という限られた舞台設定ではありますが長編だけあって非常に凝った仕掛けが多い印象の「露西亜人形殺人事件」です。宿敵・高遠とハジメの共闘という少年漫画的な展開があったり、真犯人発覚後に分かったある人物の本性とその思惑であったり、ハジメと美雪のほのかなラブシーンであったり…と物語的に面白い展開が多いので、「金田一少年」ファンの中では結構好きだという人も多いんじゃないでしょうか。ただその一方、ミステリ物に親しんだ人にとっては割と真犯人特定は簡単…という意見もあるので、謎解き重視の人には物足りないと思う人もいるかも。読者をあからさまにミスリードさせようとするものもあったりしますが、基本的には

                 

                「犯人は主要キャラクター以外のゲストキャラの中で、比較的ハジメに好意的で近しい立ち位置を取る、目立った行動を見せない人」

                 

                という私が勝手に考える「『金田一少年』の犯人パターン」に合致してしまうキャラクターですしね。

                いや、ちゃんと謎解けよ?いや〜、あくまで「読み直し企画」ですからね、このカテゴリー。(笑)

                 

                まぁ、このエピソードの一番の見どころはやっぱり「地獄の傀儡子」高遠との共闘でしょうか。いや、共闘とは言いましたが最後の仕掛けでは確かにコンビネーションを発揮しましたが基本は対立したまま…「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」で共通の敵を前に共闘するコンボイとメガトロン様みたいなものと思えばいいでしょう。

                 

                しかし高遠…仮面を被って「スカーレット・ローゼス」なんて名乗ってますが…

                 

                アニメ版のしかなかったんですよ。

                 

                …藤波ばりにハジメから「お前、平田だろ」的なツッコミがあってもおかしくないですよね、コレ。声でバレるでしょ。(笑)

                それとも、ヘリウムガスでも吸ってたんでしょうか。

                 

                ともかく、高遠が出ているのに直接手を下さない…というのは斬新ではあります。ただ、指名手配中の凶悪な殺人者であり、自分の計画に美しくない汚点となるミスをした者を容赦なく殺してしまう様な高遠が、指名手配中の逃亡生活を助けてもらったとはいえ宿敵と共闘…更には花を持たせる様な事をやるのかな?というのは正直思ったりしますわ。ゲスな話ではありますが、高遠に協力を要請した挿絵画家・幽月と何らかの関係…主に肉体的なものでもあったんですかね。

                 

                高遠とハジメの「決して交わる事のない平行線」が共闘…という展開は面白いんんです。高遠も今回は「天才犯罪者」というのが疑問に感じてしまう様な間抜けさを感じる行動はあんまりない様に見えますし、いわゆる胸アツな展開…という奴なのかも知れません。でも、やっている事は明智警視の代理みたいな役割でしかないんですよ。実の所、高遠ではなく明智警視でも大筋は殆ど変更が要らない気がします。

                 

                ただ真犯人発覚後の彼らしからぬ行動…知能犯的殺人狂な彼がハジメとの「真犯人を死なせない」という約束があったとはいえ意外とも思える行動を取った事…これは義理堅いとかそういう部分ではなく、真犯人の境遇が高遠自身のものにソックリだった為に何がしかの同情的な感情を覚えたから…なのかも知れません。ハジメとの決着はフェアな形で勝負したかったから、というのも理由の一因にあるかもしれませんが、高遠の性格上、むしろ美しくない殺人計画に自分を利用しようとした真犯人を、ハジメに言われたくらいで簡単に見逃すとも考えにくいですからね。

                 

                まぁそれでもハジメと高遠の平行線コンビの関係性という意味では、やはり名エピソードとして挙げるのもやぶさかではないかと。私がグチグチ書いているのはただ単に「高遠が好きではない」という部分に起因していますからね。ただ、それでも言わせてもらえばこのエピソードは高遠との共闘より最後のどんでん返し的なオチ…真犯人逮捕後のある人物の「本性と本当の企て」の方が個人的には印象的な一本でしたね。この人物、作者側からの天才アピールがくどく感じる高遠よりもよほど狡猾でキレる人物かと思えます。

                 

                あ、ゲスな話ではありますが今回の見どころの一つとして、美雪のノーブラ乳首ポチがあるかと。

                今までも美雪に限らずシャワーシーンとかパンチラシーンとかは当たり前にありましたし、宗像パイセンの夜這いとか結構ストレートな性的表現は割とあった訳です。ただそれらは物語的に必要な描写である場合もありますが、基本は青少年である読者に向けてのサービス的な要素だった筈。でも今回の描写はやや変化球と言いますか…ストレートなスケベではなく、ややフェチズムを感じるスケベなのでミョーに印象に残りましたね、ええ。

                 

                今回の犯人 桐江想子…犯人強度 85万パワー

                今回の殺人を実行した動機は山之内への復讐&遺産目的。動機といい、凶悪さが割と薄目、かつ謎解きの難易度的にも割と平凡な犯人。平凡故今回のエピソードでは印象が薄い。ハジメのみならず高遠まで敵に回してしまったらもうそれでゲームオーバー。ラストで犬養が好意を持っていた的な描写があるが、犬養が何か行動していた訳でもなく、接点的な描写がなかったのでスルーしてしまいがちなのも印象の薄さに拍車をかけている気が。

                 

                …ただ、見た目はかなりタイプだったりします。個人的に。(笑)

                 

                今週の高遠…80点(100点満点中)

                今回はある種味方ポジで物語が進むので、天才犯罪者としての違和感…要はポカとかは無かったので好印象。

                ただ、重ねて言うが彼のこのエピソードでの役回りは、明智警視でも特に違和感は出ないかと。彼だから…という部分は案外弱いかと。

                | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 20:38 | comments(0) | - |
                Case4 雪影村殺人事件
                0

                  久々の「金田一」読み直しは「雪影村殺人事件」です。

                  エピソードの中身はこんな感じ。

                   

                  桜のように雪が舞い散る中絵を描いている少女の夢を見た朝、ハジメの元に一本の電話が。その相手はハジメがとある理由で2週間ほど滞在した地、秋田県雪影村の友人・島津からだった。彼の口から雪影村での友人の1人・春菜が自殺した事を知らされたハジメは、彼女の葬儀の為に単身雪風村に向かう。村で再会した友人達は誰もが昔とは変わっていた。そんな中、友人の1人・冬美が春菜の葬儀で使われる筈の「上送りの矢」を刺された状態で死亡しているのを発見する。

                   

                  「金田一少年の事件簿」はご存知の通り長期シリーズ作品であり、様々な趣向を凝らした多数のエピソードがある訳です。今回の「雪影村殺人事件」はそんな数多くのエピソードの中でも異色作であり、また名作という評価も多いものになっています。どこが異色かというと、先ずこのエピソードは数少ない美雪不在で進行するエピソードである点。と言いますか、レギュラーキャラクターで登場しているのはハジメを除けば二三のみ。しかも二三にしても、エピソードの冒頭でハジメを起こそうと声をかけるだけ。本編には全く関わりません。当然剣持警部や明智警視、佐木といった面子も出ませんし、「地獄の傀儡子(笑)」も登場しません。また、犯人に「オペラ座の怪人」的な2つ名がつけられていないのも特徴。

                   

                  あ、余談ですが今回、美雪が不在という事で助手役をハジメの母親の親友の娘だという太刀川都というキャラクターが担当します。推理小説家志望の女子高生で、ビジュアルはカチューシャと眼鏡が印象的な、ややイモっぽい女の子。

                   

                   

                  ハジメに好意を持っていた様な描写があって、ラストでハジメとの別れの際に「いつだって会いにいけるんだから」と強がって泣いたシーン…結構グッと来ましたよ、ええ。

                   

                  ちなみにこのエピソードはコミックス1巻で完結する中短編的なボリュームなんですが、描写が秀逸かつ濃密、しかもきっちり枠に収めているので尺の短さは気になりません。ただ、綾花が殺害される前に探していたモノがその後何のフォローもされずに謎のままだったりはしてます。まぁ、トリックとかに大きく絡んだりはしていないので気にならないかもしれませんが。

                   

                  そもそも物語の舞台がハジメにとってはたまたま縁があった村…でもエピソード内でハジメがいかにたた2週間で得た友人達とその思い出を大切にしているかが読み取れる上、雪影村の寂れた漁村というシチュエーション…そして何より些細な嫉妬心が決定的な亀裂を作ってしまったという…なんとももの悲しいエピソードになっていて、確かに今までの「金田一」とは雰囲気そのものが違っている印象があります。そんな中にいつものメンバー…例えそれがヒロイン格にして助手役の美雪であろうとも、介在してしまっては何と言いますか…ハジメ達にとって大切な思い出、というモノが一種かすむというか、濁るというか…ハジメ単身で友人達の事件の真相に挑むからこそ、より一層何とも悲しい物語の結末が引き立つと言いますか…これは英断だったと思うんです。

                   

                  島津と春菜に嫉妬し、腹いせに"ちょっとした嘘"をついた冬美と綾花。

                  自分の肩の怪我の方に気をとられ、春菜の絶望に気が付けなかった島津。

                  島津の肩の異変に気付きつつも、甲子園への周囲の期待故声を上げられなかった立石。

                  誰が悪いという訳でもない、ちょっとした行き違いから生まれた、些細ながらも決定的な亀裂。

                  これが今回の事件の真相。

                   

                  ただ、私は見ていませんがドラマ版ではキャスト(というか事務所?)の都合なのか原作からは改変されてしまって、ハジメ以外の面子も全員集合になっていて、更には今回のトリックにも関係する雪影村の「21日から26日の5日間だけほぼ同じ時間に降る雪」というものも、真夏に降る雪、みたいな形でより現実感が薄い形にされたりと、あまり評判が良くない様です。

                   

                  しかし原作の漫画版…コレは名編だと思います。

                  ややトリックが簡単と言うか、正直雑に見えるのも、今回の事件に纏わりつく物哀しさ…ドラマ性を優先した結果だと思いますし、恐らくこのエピソード、「金田一少年」ではなくても通用する作品かと思います。

                   

                  このエピソードでも、大切な人を失い、また大切な人が手を血に染めその罪を暴く羽目になったハジメ。やりきれませんね。

                  ただこの辺の描写が、私が「名探偵コナン」に興味を持てないのに「金田一少年」は好きな理由かもしれません。

                   

                  今回の犯人

                  島津匠…犯人強度 70万パワー

                  何気に犯行の理由が復讐…という割に、決意してから犯行の実行が極めて短いのが特徴。そして野球部期待のエースでありながら、肩を故障してからは推理小説を書き、今回の犯行にもそのトリックを流用するなどただの脳筋スポーツバカではない模様。彼が春菜の不安、絶望に気づいていれば…更には彼の肩について周囲の誰かが気づいて声を上げていれば、今回の悲劇は無かったのかもしれない。

                  | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 19:34 | comments(0) | - |
                  Cace3 天草財宝伝説殺人事件
                  0

                    はい、久々の「金田一少年」読み直しです。

                    今回のエピソードはこんな感じ。

                     

                    フリーライターのいつきの頼みで島原の乱の天草四郎が残したとされる財宝探しに乗り出したハジメ。天草に着いたハジメ達は地元の小学生たちから不吉な噂を聞く。天草財宝を狙う者は「白髪鬼」から死の制裁を受けるのだといとう。天草財宝の捜索に参加した面々は天草四郎のロザリオに隠された暗号文から財宝のありかを散策するが、その行く先々で「白髪鬼」による犠牲者が…。

                     

                    …実はこのエピソード、連載時の謎解き犯人捜しの正解者がたった3人(おまけ正解は多数)という、「金田一少年の事件簿」でも屈指の難事件です。今回、ハジメも一二による偶発的なヒントとかが無かったり、ハジメの仕掛けた罠に犯人が掛からなかったら真相にたどり着けなかったかも知れない事件…犯人は相当な切れ者と言えましょう。ミスらしいミスも犯してませんし、こりゃ確かにヤマカンでもなけりゃ犯人当てるの至難の業かも知れませんわ。

                     

                    ミステリーモノとしての見せ方と言うか、ミスリードのさせかたも巧妙だったのが正解者が少なかった理由でしょうね。ヒントとかはきっちり提示されていますし、ましてや無茶なトリックを使った訳でもない。ただ意地悪だったのが財宝探索の参加者の名前にヒントがある、と提示しているのに犯人が直接それに関係していない、という部分。ココは若干狡さを感じます。ただ謎解き物としてはかなり出来がいいエピソードと言えるんじゃないかと。

                     

                    さて、今回はいつきさんがまたまた不幸に。しかも「金田一少年の殺人」に続いて「親しくしていた人物が病気の娘の為に殺人を犯す」上に、かつての恋人をこの事件で失う事に…って、ロリコンって訳じゃなかったんだな、いつきさん。(笑)

                     

                    ちなみにいつきさんの元カノがこの人

                    個人的に結構好みのタイプの眼鏡美人です。(笑)
                    それはともかく、事件の構図…というか、犯人の位置づけ、動機がモロに「金田一少年の殺人」と同じなんですよね、この事件。娘の病気の為に、復讐とか怨恨と言った「金田一少年」お約束な要素のない無関係とも言える人間を次々と殺めていく…という展開がそっくりです。しかもどちらの事件にもいつきさんが関わっていて、最後の最後で犯人の願い…娘の命が助かるかもしれない…という希望が残るのも共通。いや、だから焼き直しだなんだという気はありませんよ?
                    このエピソードですが、今までは架空の地名を用いる事が殆どだった「金田一少年」ですが、今回は執筆に当たり天草にて取材を行っており、登場する地名も全て実在の物になっているのも特徴。またトリック等に関係している訳ではないものの、ダウジングというややオカルト的な部分のあるモノを持ち出した事に多少批判があるんだそうで。
                    あ、ダウジングと言えば、ダウジングの使い手として財宝探索にも参加したキャラクター・美浦エミリはワカメ頭から美雪に部長が代替わりしてからミステリー研究会に入部したハジメ達にとっては後輩の娘。入部時のあいさつで男子全員を虜に、女子全員から敵意を浴びる…という小悪魔的美少女で、ハジメに気がある…という設定。本命対抗の美雪、玲香に対する更に脇役的ポジションでハジメに好意を持つキャラクターで後輩ポジションというのは初ですかね。ただ彼女に関しては「興味本位」という程度にしかハジメに好意を持つにいたるバックボーンがないので、ダウジングとか便利な設定かも知れませんが…どーもイマイチ魅力に欠けると言いますか…まぁ、本命はかなりやきもきしている描写があるんですけどね。
                    それと今回、単行本2巻分では尺があまったからか単行本には明智警視の過去を描いた短編エピソードが1本入ってます。コチラは明智警視のファンサービス的なもので特筆すべきものは特にない印象でした。
                    今回の犯人
                    和田守男…犯人強度 300万パワー
                    見た目はコッテコテの関西弁が印象的な人のよさそうな小太りの中年だが、殺人のアイデアや実行に際してのミスのなさに関しては一級品の強敵。娘の為なら手段を問わない非常さも然ることながら、最終的な目的=殺人、ではなく娘の命…その為に自らの命すら差し出そうとする様は印象的。
                    | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 14:48 | comments(0) | - |
                    Case2.「銀幕の殺人鬼」
                    0

                      はい、「金田一少年」読み直し企画、今回は「Case」シリーズ第2弾「銀幕の殺人鬼」です。

                      事件の概要はこんな感じ。

                       

                      不動芸術高校の映研部部長・蔵沢にスカウトされ彼らが作る自主製作映画の撮影の為に同校を訪れたハジメ達。ハジメ達は不動芸術高映研部の活動を知る為に「大追跡」という作品を見る事に。しかし作品の途中で画面は切り替わり、脅迫文と大きな蠍の紋章が映し出された。蔵沢たちはその脅迫文を無視して撮影を続けるが、部員の1人がかつて撮影したホラー映画「サソリ座の惨劇」にあるシーンに酷似した状態で殺されてしまう。

                       

                      …と、いう事ですが、正直このエピソード…出来があんまり宜しくない気がします。正直、これまで読み直してきましたがコレが現在ワーストですね。いや、コレは勿論個人的な感想で、ですが。

                       

                      先ず、物語自体が何というか…やや力業な印象。犯人の動機としては「金田一少年の事件簿」らしい復讐劇ですし、それも誤解やすれ違いが絡んだお得意の展開。そして意外な事にトリックでも致命的なボロを出さずに手際よく4人を殺めた手際と言い、割と手強い部類の筈なんですが…根本的な問題として物語そのものの魅力が足りていない…そんな印象なのです。

                       

                      まぁ、一番の原因はこれですよ、やっぱり。

                       

                      黒河さんの背中のあざ

                       

                      これ見よがしに派手に書いておいて、全く説明がないサソリに見える背中のあざ…何の為の描写だったんですかね。ドラマやアニメ版では一応説明があったみたいなんですが、原作は派手に出した割に何の説明もされぬまま事件解決。読者にミスリードさせようという演出なのかも知れませんが、少なくともただ描いただけで説明しないままな原作のやり口では、誰も納得しませんわな。

                       

                      …まぁ、そもそもあからさま過ぎてコレで殺人犯スコーピオン=黒河さん、という風に考えてしまう人もそんなにはいないとは思うんですが。

                       

                      それでもまぁ、このエビソードの欠陥である事は間違いないんじゃなかろうかと。

                      それと、今回も「犯人の動機は復讐だが、それにはある誤解が…」というパターンではあるんですが、他のエピソードに比べても今回この部分は弱く、同情してしまう様な要素も薄いんですよね。事件の原因になった事故の件にしたって

                       

                       

                      としか思えないんですよね、何だか。

                      キャラクターの描写が絶対的に足りていないというかなんといいますか。

                       

                      …Caseシリーズ2作目ですが、やっぱり1エピソード毎に出版社の都合から来る尺を設けてしまったのは、物語の完成度とかを考慮すれば悪手だったんじゃないかな、と思わずにはいられないのです。

                       

                      今回の犯人

                      遊佐チエミ…犯人強度 100万パワー

                      エピソードの出来はともかく、犯人の技量に関しては少ない時間で立て続けに4人も葬った…という点では評価できるかも。

                      ただ…やや殺人の演出が厨二っぽく見えてしまうのが難点か。

                      ちなみにドラマ版で彼女を演じたのは現在放送中のNHK大河ドラマ「いだてん」に出演中の上白石萌歌さん。

                      | 零哭堂 | 金田一少年読み直し | 21:52 | comments(0) | - |
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