土建屋探偵シリーズ17 建設小町純子の推理日誌 再開発事業に潜む殺意の連鎖 夜の現場に消えた死体と敏腕所長の隠された過去

自己満足ブログ
♪四日の未明〜身っ投げし〜た〜浜辺〜
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    先日、「味のプロレス」という作品を紹介しましたが今回もプロレス漫画です。え!?「タイガーマスク」?「プロレススターウォーズ」?「プロレススーパースター列伝」?…違うんだなぁ…。

     

    ヒラマツ・ミノル 「アグネス仮面」 全8巻

     

    コレなんです。

    この「アグネス仮面」、世間的にはあまりパッとしない評価でしたが、一部のプロレスファンからは絶賛されていた…ような気がする漫画です。

    中身はこんな感じ。

     

    メキシコとアメリカでの5年間の武者修行を終えて帰国したプロレスラー・山本仁吾は帰国早々所属する団体「大和プロレス」が潰れていた事を知る。大和プロレスの社長夫人である安藤夫人にそそのかされて大和プロレスが潰れた原因であるライバル団体「帝日プロレス」に道場破りをする事になった仁吾だが、居合せた帝日プロレス社長のマーベラス虎嶋の前に歯が立たず、無理やり覆面を被せられて帝日のレスラー「アグネス仮面」としてデビューする事に…

     

    一応舞台設定は昭和51年の日本になっていますが、ジャイアント安藤(ジャイアント馬場がモチーフ。見た目はアンドレ)が故人で、マーベラス虎嶋(アントニオ猪木)が引退している…という部分的にプロレス史的には平成に入ってからのものも取り入れられておりますが、物語の展開としては異種格闘技戦だったり、はぐれ国際軍団みたいなのが出て来たり、とまごうことなく昭和のプロレスがベースになっています。

     

    この作品、言葉は悪いですがプロレス懐古主義的な趣が強い作品です。何せ冒頭に

     

    二十数年前、今ほどプロレスはビジネスライクではありませんでした。

    レスラーもお客も、今よりずっといい加減でテキトーで大雑把でおおらかで、そして誰もが真剣でした。

     

    という一文で物語が始まる程。

    無理やりマスクマンにさせられる…という主人公きは何となく一世風靡した初代タイガーマスクとかを彷彿とさせますし、アグネス仮面の「アグネス」とは実は虎嶋が「アマゾン」を言い間違えたもので、それが完全に定着してしまう下りを筆頭に、マーベラス虎嶋の圧倒的な強さとは裏腹…なのかはともかくとして、とにかく無茶苦茶で破天荒、人を馬鹿にしているかのようないい加減な性格と言うのは、もうモデルであろうアントニオ猪木氏のイメージとかなり合致してしまいます。他にも尾崎の…嫌われ者のヒールながら実はトンデモナイ実力者…という設定やその描写…プロレスを分かってるな、と思わせる描写が光る作品なのです。

     

    帝日のエースである金村が頸椎損傷し再起不能になる下りにしても、身体と強さは一級ではあったがプロレスラーとしては未熟なジャイアント安藤2世こと和清の「ヘタクソな技」というのも、何ともプロレスらしい展開に思えます。そういえばこの作品、2代目タイガーマスクでありプロレスリング・ノアを立ち上げた故・三沢光晴氏も「プロレスラーのメンタル面が描かれている」と絶賛していたりしていて、受け身の上手い選手だったにも関わらず、それまでの過激なプロレスによるダメージの蓄積もあってか試合中の事故で帰らぬ人となった…というのは何だか因縁めいている気がしてしまいます。

     

    試合シーンは劇画調のタッチで荒々しくも緻密に描かれていて迫力があるんですが、その一方で物語としてはコミカルな要素も多かったりして、そういう意味でもエンターティメントとしてのプロレスが良く表現できているんじゃないかと。ホント、「味のプロレス」とかで取り上げているエピソードなんかにしても、猛々しいプロレスラーにも何だか子供っぽかったり、抜けていたり、変だったりするところがある…プロレス版「踊る大走査線」的なネタと言いますか…そういうの部分をこの漫画ではすんなり、違和感なく溶け込むように描いているのも魅力ですかね。

     

    ただ、恐らくは打ち切りになってしまったのでしょう…本作の終盤はかなり慌ただしく、読んでいても何だか「アレ?コレで終わり?」と感じてしまう人も多いかも知れません。編集サイドの問題なのか、もしくは作者のモチベーション的な問題なのか…終盤はかなりバタバタしているというか、正直、物足りない描写が多くなってしまっています。この辺はかなり残念。

     

    でも、物語冒頭の一文を最後に使ったあの終わらせ方…それ自体は嫌いでは無かったりするんですが。

    | 零哭堂 | 漫画紹介 | 22:26 | comments(0) | - |
    この漫画を紹介するのに3分も要らねぇ、5分で十分だ!
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      今回はコレ。

       

      アカツキ 「味のプロレス 王道編&闘魂編」

       

      最近、一時期は壊滅的なレベルで低迷して倒産寸前とも言われていた新日本プロレスが、若い女性などから支持を集めて人気がV字回復している…というのは知られた話ですね。情報系バラエティ番組にはスイーツ好きな真壁選手とかが出演していたりするようですし、逆に昭和からプロレスをけん引してきた天龍源一郎氏や長州力氏辺りがそのしゃがれて活舌が悪い声がネタとしてバラエティ番組に使われたりしてもいますね。

       

      この「味のプロレス」は今の新生新日本的な女子ウケするプロレスラーではなく、昭和から平成初期にかけてリングを沸かせた、汗臭くもアクの強いザ・プロレスラーな選手たちのエピソードを4コマ漫画にした作品。この作者のアカツキさん、私より2つ年上…ほぼ同じ時の流れを生きている世代なせいもあって、「味のプロレス」で使われるプロレスネタが世代的に丁度重なっているんですね。絵柄は中崎タツヤ先生と言うか、蛭子能収さんというか…朴訥とした絵柄なんですが、結構特徴を捉えていて面白かったりします。似てないレスラーもいますけどね。(笑)

       

      描かれるレスラーのエピソードに関しては、例えば天龍が銀座のクラブで手持ちの金を勘違いして支払いでトラブルになっていた見ず知らずの客の飲み代を貸した、とか、アンドレが来日した際に便器が小さくてバスタブにウ〇コした話、いたずら好きな橋本の話、猪木のモノマネで有名な芸人の故・春一番さんが猪木の気合で一命をとりとめた話…等、プロレスに関して多少知っている、という人には既知…割と有名な話が多いのですが、絵がつくと何だかその絵を通じて本人たちが頭の中で自然と浮かぶと言いますか…不思議な魅力があります。

       

      また、一方で割と細かい…でもファンなら「あるある」なレスラー達のムーブ…例えばタッチされたコーナーに昇ってそのまま何もせず飛び降りてリングインする藤波とか、鶴田のパワーボムをこらえようとしたレスラーにやるアレしとか、平成維新軍が相手を自分達のコーナーに押し込んでやるアレとか、ライガーがロメロスペシャルかける時にやるアレとか…ファンならニヤリとしてしまうネタが豊富なんですね。後、マサ斎藤の迷解説っぷりとか。(笑)

       

      私も一時期、PRIDEとかの総合格闘技にハマったクチではあるんですが…総合格闘技路線に迷走したかつての新日の有様なんかを知っていると、やっぱりプロレスはプロレスであるべきだと思うんです。でも、エンターティメントに特化した「ハッスル」とか、昨今のイケメンマッチョが派手に華麗に…な昨今のプロレスには…食指が伸びないんだよなぁ…何かが違うんです。

       

      …まぁ、こいういのも懐古主義、とか言われちゃうのかもしれませんけどね。

       

      オマケ

       

      4コマのリングで戦う「味のプロレス」

      | 零哭堂 | 漫画紹介 | 20:21 | comments(4) | - |
      魔力を使わない魔法、それが…
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        最近、芸能人の筋肉売りタレントも所謂細マッチョという奴が幅をきかせており、ボディービルダーナイズな正統派ムキムキマンはあまり人気がない気がしますが、そんな世界に喝を入れるべくこの作品をご紹介。

         

        …まぁ、私自身はムキムキならぬブヨブヨなんだけどな!!(笑)

         

        小野寺浩二&どらねこ&レルシー 「魔法?そんなことより筋肉だ!」 現在3巻まで発売中

         

        元々はどらねこ氏による「なろう小説」の様ですが、昨今の「なろう系」作品の流行りなのか、現世の人間が異世界に転生してチート能力を…というのではなく、転生要素がないファンタジー作品になっています。「なろう系」っぽいのは主人公のチート能力に加え、冒険者ギルドやら冒険者のランクなどですが、吹き出しでステータス表示、的なありがちなゲーム的な要素は殆どありません。

         

        …まぁ、コレはコミカライズ版の話で、原作はそういう要素があるのかも知れませんが。

         

        ただ…コミカライズに当たって作画担当となった小野寺浩二さん…島本和彦さんの様な作画&作風で知られる人で、私も本作以前に

         

        「カバディ7」 全3巻

         

        コレが結構好きだったんですよ、無茶苦茶さが。(笑)

         

        さて、その中身は人里離れた森の奥深くでひたすら鍛えていた主人公・ユーリが迷子のエルフ・フィーリアと出会い、冒険の旅に出る…という、かなりシンプルなもの。但し、魔法が当たり前に存在するファンタジーな世界観にも関わらずにユーリは魔力皆無。その代わり、鍛錬の末に得た鋼の筋肉による自称"筋肉魔法"という力業で物事を解決する…という、コメディ色が極めて強い作品です。

         

        画風が、他の「なろう系」やら「なろう風」な作品、コミカライズがアニメ調な作品が多いのに対し、この「魔法?そんなことより筋肉だ!」は少年漫画風…それも今や懐かしい感じのタッチなのが魅力で、基本的に荒唐無稽な展開が続くこの作品にはマッチしているんじゃないかと。

         

        特に、肝心要とも言える筋肉描写に関しては、飽くまで原作小説の書籍版カバーイラストを見た限りでは、という限定的なイメージですが、割と主人公のユーリは細マッチョ系に近いムキムキっぷりなんですが、コミカライズ版…いや、敢えて小野寺版と呼びますが、コチラは

         

        リミッター解除するとビスケット・オリバ並みの筋量に。

        正にナイスバルク&ナイスカットです。

         

        魔法による攻撃を受けてもかすり傷一つ追わないのは、鍛えたから!

        筋肉の4/3は水なので水は筋肉…故に筋肉が水魔法と共鳴して無効化!

         

        …もう、無茶苦茶です。

        ただ、ユーリの場合は転生モノ「なろう」にありがちな、神様だのの恩恵でチート…という訳ではなく、鍛えているからチート。コレは説得力があります。と、いいますか…「なろう」作品が否定される一番の理由は、凡人が圧倒的な力を、大したリスクもなく何の努力もなしに得てしまう、という点に尽きると思うんですが、本作のユーリはその問題に「鍛えたから」という、たった一言の理由付けをしたことで半ば強引に説得力を…もっと言えば

         

        「そういう漫画」

         

        としてしまった。コレはある意味、逆転の発想と言えるのかもしれません。

        そもそも、作風自体が俺つえー路線と言うよりコメディ要素重視になっている為に主人公やヒロインの言動が鼻につかない、というのも知れませんね。ユーリは徹頭徹尾筋肉バカとして描かれますし、ヒロインの美少女エルフ・フィーリアも活躍ぶりよりポンコツな部分が光っていてコミカルさを重視している…コミカライズ版の場合は小野寺さんの画風や作風も相まって猶更それが顕著…早い話、「なろう」にありがちなネガティブなイメージが、作風&画風の濃さのおかげで良い感じに中和されている…そんな印象なのです。

         

        ワンパターン的な俺つえー系「なろう」に辟易している人にこそ、オススメしたい作品と言えるんじゃないかと。

        え?つまらなそう?

         

        もっと鍛えんと聞こえんなぁ〜っ!!

        | 零哭堂 | 漫画紹介 | 18:07 | comments(0) | - |
        警察官にもいろいろある
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          派遣型マッサージ店の従業員を強姦したとして逮捕された俳優の新井浩文被告の初公判が行われ、そこで新井被告は被害者に謝罪の言葉を口にしながらも「同意があった」等と起訴内容を否認した…という報道がされましたが、そりゃ事実がどうであれ、裁判ではそういう風に言うよな、ただの性交か強制性交等罪の分水嶺なんだからして…等と思っていたら思い出したのがこの作品です。

           

          泰三子 「ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜」 現在8巻まで発売中

           

          警察、刑事モノというと、派手な捕物を繰り広げるアクションモノや、強大な黒幕がいる難事件やら狡猾な犯罪者を追い詰めるミステリーやサスペンスが多いんですが、本作は架空の町、岡島県警町山警察署の交番に勤務する女性警察官を中心に、割と身近にはいるのにイマイチその内情がよく分からない、よく知らない警察官達の日常を描くユニークな作品です。「踊る大走査線」とかを連想してしまうかもしれませんが、ドラマ的なヒロイックな部分が少なからずあった「踊る大走査線」とは違い、本作はもっと何と言いますか…地道です。そして、一般のブラック企業的なネタも内包しています。(笑)

           

          実は作者の泰三子さんは女性警察官として10年ほど勤務していた言わば本職の人。それ故、婦警さん2人のバディモノではあるんですが、「2人におまかせ」的なエロっぽい展開や「逮捕しちゃうぞ」的な荒唐無稽な活躍は皆無…繰り返しますが、物語としては派手さに欠ける作品。

           

          でも、実際に女性警察官として長年勤務した経験が存分に生かされた作風になっていて、先ず何と言っても視点が面白いんです。何度もスピード違反とかでキップ切られてる(苦笑)身からすると、どうしても警察に対してはやっかみみたいなバイアスがかかってしまうんですが、そんな読者でもこの作品を見ると何だか日々町を守っている警察官に何だか親近感が湧いてしまうんです。これは、作品を通して「会社勤めもツライけど、警察官も同じように色々ツライのよ」というのが…ホントによ〜く判ってしまう作品なんです。この感覚が何だかとても面白いんですよ。

           

          そして注目点が、当たり前っちゃあ当たり前の話なんですが、警察にも何と言いますか…社員教育というか…同僚とか先輩後輩といった枠、同僚と愚痴をこぼしあい、先輩は荒廃を導いていく…というのがあるんだなぁ…という点。いや、刑事ドラマなんかですと、独断専行な気がある経験豊富なベテラン刑事が規則だのに煩くて頭でっかちな若い刑事を見下す…みたいなシーンがある訳じゃないですか。でも、繰り返しますが警察においても一般的な会社組織と同じように先輩後輩には当たり前に継承というものが存在する…コレが私的には何だかとてつもなく新鮮に感じられたんです。

           

          特に面白いのが、新井被告の初公判で私が本作を思い出した理由が絡むエピソード。

           

          主人公の新人女性警官・川合が強姦被害者の少女とその母の事情聴取をる事になったが経験不足で何も出来なかった事を悔やむ。そんな彼女を先輩の警察官(男)・山田が生々しい話と共に叱咤する…このエピソード、「ハコヅメ」という作品の中でも一際重く感じます。テレビでコメンテイターがしたり顔で偉そうな事を語るより、余程雄弁に「婦女暴行事件の難しさ」を描いているような思えます。

           

          基本的にはどこか自嘲的な警察コメディではあるんですが、時たまこういう重い描写があって、それがかなり心の中にズシリと響く…そんな漫画が「ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜」という作品…これは、交番女子のみならず、状況を必死にこなそうとする働く人たちへの賛歌、応援歌である…そんな気がします。

           

          オマケ

          日経ビジネス 泰三子さんインタビュー「警察は"しょうもない人"が頑張る仕事です」

          | 零哭堂 | 漫画紹介 | 19:31 | comments(0) | - |
          負けっぷりが良い
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            久々の漫画紹介はコレ。

             

            由 「ヴィールカさんVS」 現在1巻が発売中

             

            料理位しか趣味がない地味な中年サラリーマンのシゲオの住むアパートの台所の鍋とかしまう所が異世界と繋がってしまい、中を覗いてみると…そこには汚い恰好で拘束されている獣耳とシッポの生えた少女がいた。そんな彼女を何となく不憫に思ったシゲオは彼女を何となく自室での食事に誘うが、コレが異世界の獣人少女…ヴィールカが数々の強敵と激闘を繰り広げる物語の始まりだった…。

             

            というのが中身。いや、バトル漫画ではありません。「孤独のグルメ」とかと同じ、グルメリアクション漫画です。異世界の住人であるヴィールカが、シゲオの作る現代社会に当たり前に存在する家庭料理的なものを最初は「こんなのが美味しい訳が無い」等と馬鹿にしつつ、一口食べるや否や敗北していく…というコメディ作品です。

             

            そんな訳で、基本的にはヴィールカさんが現代の文化…主に食べ者ですが、そういった物に触れ、それにファンタジー世界の住人らしいリアクションをしていく…という、ただただそのパターンが続くんですが、シゲオの隣人で巨乳メガネオジコンJKのマドカや、ヴィールカさんと友達になってしまう近所の小学生・ヒメが絡んだりとそれなりにワンパターンになり過ぎない様な配慮がされています。

             

            ちなみに「オジコン」と書いた通り、マドカはシゲオに好意を持ってるんですが…大人しくてすれてない、純朴で心優しい巨乳メガネJKが、人の良さと料理位しかとりえがなさそうな(失礼)中年男にホの字(死語)なんて設定の方が、獣耳シッポ少女よりよっぽどファンタジーだと思いますわ、ええ。(笑)

             

            おおまかな雰囲気は、「侵略!イカ娘」に近いですかね。どちらも異文化交流コメディ的な要素がありますし、毒が全くないほのぼのとした世界観、という作風としてはかなり近いんじゃないかと。但し、こちらの「ヴィールカさんVS」ではヴィールカさんの不憫さがバックボーンにあります。何でも元々ヴィールカさんがいた異世界では昔ニンゲンと獣人の間で戦争があって、その戦争で敗北した獣人はニンゲンに迫害されており、彼女自身も奴隷商人に捕まって変態に売られる直前だった…彼女の住んでいた村もニンゲンの獣人狩りで天涯孤独、頼れる者もおらず、シゲオの元から異世界に戻れたとしても、すぐに奴隷にされるのがオチ…という状況が、読者視点がシゲオに被り易くしているのかも知れません。

             

            ある種、虐待された隣人の子供を匿って世話している様な状況…これに近いかも知れません。そんな訳でミョーに父性というか、保護欲みたいなものをくすぐられる作品になっているんです。

             

            といっても中身はそんなにシリアスではありませんし、上記のようなイメージで見たらヴィールカさんが馴染むの早すぎるんですが、コレはコレで毒のない、優しいコメディとして良質な作品だと思います。シゲオとヴィールカさんの疑似親子的な関係もそうですが、巨乳メガネJKの理想形的なマドカの淡い恋心とか、引っ掛かる部分が多い作品なのでフェードアウトしないせめてで2〜3巻位は続いて欲しいな、と思う作品です。

             

            色々と疲れている人にとっては、ある種の癒しになる作品かも…っていうのは言い過ぎかな。

            面白い、というのとは正直違うんですが、心地よい作品です。

            | 零哭堂 | 漫画紹介 | 19:46 | comments(0) | - |
            コッチはコッチで面白い
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              チョコレートプラネットというお笑いコンビのTT兄弟と言うネタが流行っているみたいですが、TTと聞いて思い出すのがコレ

               

              大分濃い口ですが、コレでもアニメでは緑川光氏が声を当てたイケメンライバルなのです。

               

              コレ、戸田泰成氏が描いた「スクライド」より、知識至上主義のスーパーホーリーであるT・Tを倒した際の劉凰の台詞で、一部のマニアには知られたシーンだったりします。

               

              谷口悟朗氏の監督作品は氏の意向を尊重して、漫画などのメディアミックス展開をした際には全くの別物になるパターンになる事が多いんですが、戸田氏の描いた「スクライド」はアニメの舞台設定を一部残しつつ、大幅なアレンジをした傑作と言えるコミカライズだと思います。この手の手法はコミカライズを担当した漫画家さんの力量次第ではかなり作品の間口を広げる面白いモノになりうると思うんですが、一方で全てが無茶苦茶で読者置いてけぼりな「ガン×ソード」のような失敗例もあったりしますが。

               

              と、いう事でコレね。

               

              戸田泰成 「スクライド」 全4巻

               

              戸田氏というと、OVA「ジャイアントロボ the annimation 地球が静止する日」の今川監督とタッグを組んで「ジャイアントロボ」の漫画を描いていますが、どうも消化不良と言うか、尻切れトンボに終わってしまった感があるのですが、この「スクライド」は傑作です。ついでに言うと「アストレイR」も面白いんです。劇画調ともちょっと違う…どことなく荒木飛呂彦氏のタッチをもっと泥臭く、荒っぽくしたような絵が魅力的で、かつ中身は無茶苦茶、破天荒、力技…一見読者置いてけぼりな漫画に見えてしまうんだけども、読んでいると何だか目が離せない…そんなパワーに溢れる作品なのです。

               

              アルター能力やロストグラウンドといった基本的な設定はアニメ版と共通なれど、反ホーリーのネイティブアルター集団・ロウレスやホーリーを超える権限とアルター能力を持つスーパーホーリーなどコミカライズ版のオリジナルキャラクターが活躍する一方、君島の様に散在感が薄くなっていたりジグマールや瓜実、クーガーの様に大幅に設定を変えられたアニメキャラクターがいたりと、一見、お約束的に

               

              「こんなの『スクライド』じゃない!!」

               

              なんて拒絶されてしまいそうな要素多数…ではあるんですが、読んでみるとコレが非常に面白いんです。いやむしろ…個人的には「スクライド」はアニメ版よりコミカライズの方が面白い、とすら思うんですよ、ええ。

               

              コミカライズ版の最大の魅力は…やはり主人公のカズマでしょうか。基本的な設定はアニメ版を踏襲しているのですが、コミカライズ版には"あらゆる障害に反逆する「反逆者(トリーズナー)」"という異名があり、かつ脳筋バカというか、一部チンピラヤンキー的ですらあった様に見えたアニメ版の彼とは違い…語彙力があると言いますか…発する台詞がセンスに富んでいてカッコイイんです。おかげでアニメスタッフにも

               

              「コミカライズ版のカズマの方が知能指数は高い」

               

              みたいな事を言われてしまっています。(笑)

              ホント、敵に何か言われて返す言葉が良いんですよ、ええ。

               

              あ〜しかし…「スクライド」ですらもう20年前近いんだなぁ…30過ぎるとホント、時の流れがあっという間に感じてしまいます。

              | 零哭堂 | 漫画紹介 | 21:24 | comments(0) | - |
              エロは期待しちゃダメ
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                今回はコレ。

                 

                ショウマケイト 「よいこ系不良サキュバスサキちゃん」 現在1巻が発売中

                 

                露出の高い衣装を着たグラマラスな美女で、背中にはコウモリの様な翼、お尻には悪魔の様なシッポ、頭には山羊のような角があり、夜な夜な男の寝床を訪れ性交し、人の精を吸い取る…という、フィクション作品群…特に漫画やアニメ、ゲームやライトノベルなんてものにはもう腐るほど存在する、ある意味ありふれてた存在とも言えるサキュバス。このワードが出て来るだけで男の子はエロティックな描写を期待してしまう訳ですが、本作「よいこ系不良サキュバスサキちゃん」は主人公…というよりヒロインがサキュバスでありながら、サキュバスという男の子的なエロ妄想描写が皆無の作品になっています。

                 

                まぁ、最近多い気はします。ヒロインはサキュバスなんだけど純情で奥手…故に魔界では落ちこぼれ扱い。卒業試験とか親に修行に出されたとかそんな理由で人間界にやってきた奥手系純情サキュバスはたまたま人間界で出会った主人公をターゲットとするが、共に暮らすうちに彼のやさしさに惹かれる様になり…という奴ですよ。この作品もそんなんかなぁ…と思ってたんですが、結構違うんです。

                 

                ヒロインのサキは不良サキュバス…人間、学生におけるヤンキーなんかと同様でボンタンだの短ランといった変形制服を着用し、勉学には興味を持たず授業はサボり、日々喧嘩したりカツアゲしたりパー券売ったりに明け暮れる…というのと同様に、不良故に

                 

                露出度の低い服を着て、体形もグラマラスとは程遠いおこちゃま体形で

                エロい事に興味を持たず保健体育の授業はサボり

                カワイイ絵本とかを隠し持つ

                 

                という、サキュバスの性質に即した「不良」というのが面白いんです。前述した「奥手系サキュバス」はその奥手&純情っぷりに比して扇情な体形をしていたりしますが、本作のサキちゃんは「ゼロには何をかけてもゼロ」と言われるレベルの貧乳…というか、おこちゃまバディなのですね。おかげで作風も「サキュバス=エロ」というイメージで本作を手に取ろうとしている人には、その本を棚に戻して帰りなさい、とアドバイスしなくてはならない…そんな漫画。

                 

                サキちゃんのキャラクター的なアイコンとしてしか正直、サキュバスという設定は機能していない印象の作品ではありますが、意外にサキュバス視点から語られる人間世界と言うのは中々に滑稽で、シュールだったりするのです。実はコレ、不良サキュバス…エロに関する知識とかはそれなりに持っているが然程執着していない、というサキちゃんの視点だからにこそ、びりっとした若干の社会風刺的なスパイスを持たせつつコメディとして成立出来ているのでは?と

                 

                ちなみにこの作品、星海社がやってるtwitterの4コマ配信「ツイ4」で連載している作品みたいですが、「ツイ4」といえばこんな話も

                 

                落選作品も晒しあげてボコボコに…星海社「ツイ4」が炎上→看板作休載→著者が苦言を呈した作品も打切

                 

                なんだか今世間で騒がれている吉本興業の件にも似ている気がしますが…大丈夫なんですかねぇ…。

                ホント、ブラックである事が当たり前のギョーカイなんて、芸能界だけじゃないんだよなぁ。

                | 零哭堂 | 漫画紹介 | 20:30 | comments(0) | - |
                俺のケツを舐めろ
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                  今回はコレ。

                   

                  大見武士 「KISS MY ASS」 全2巻

                   

                  私の同僚には1年に1度位「痛風」で長期休暇せざるを得ない状況に陥る人がいるんです。この人、若い時は"肉体派なスポーツ"でならした人で、未だ凄まじいパワーの持ち主ではあるんですが…大酒飲み…特にビール大好き人間なので、痛風とお友達になってしまった訳です。発症すると歩けないレベルの激痛が走り…って、元々痛風という病気は「風が吹いただけでも痛い」という事でその名前が付けられたという話がある位ですから、私は幸い経験ないですが、つらいんだと思います。屈強な大男がまるで動けなくなってしまうんですから。

                   

                  この人、面白いのが自分が重度の痛風持ちであるためか、街を歩いている人の歩き方とかで痛風持ちの人を判別できるんだそうで。自分が付き合っている病気故に、痛みを和らげる為の行動とかが見てて分かっちゃうんでしょうね。

                   

                  今回紹介するこの「キスマイアス」も、同じ様な経緯でスタートします。若くして痔持ちの高校生・薬師寺君は恥ずかしさから周囲に自身が痔である事をひた隠しにしていたが、ある日同級の三浦さんに痔持ちである事を看破されるところから始まります。かつて酷い痔持ちだった三浦さんは「痔友人」として薬師寺君に痔のケア等をレクチャーしていく訳ですが、実は薬師寺君の想い人で学園のアイドル的な同級生・小松さんも痔で…というのが大まかな流れ。

                   

                  さて…幾ら何でも漫画で「痔」はねぇだろ、というツッコミを入れたい衝動に駆られる人は多いと思います。ハッキリ言って、漫画で出て来る痔の描写なんてギャグシーンが殆どな訳で、タイトルといい出オチ感が凄い漫画ではあるんです。ただこの作品、決して悪ふざけや悪乗りの賜物ではないんですよ、決して。

                   

                  何せ、この作品の担当編集が長年に渡って重度の痔に苦しめられた事があり、この漫画を描くきっかけもその担当氏の痔の体験談が酷く痛々しく、それでいて何とも面白く興味深い物だったからなんだそうな。そんな痔と戦ったプロフェッショナルの体験談をベースにしているのですから、痔持ちあるある的なもののリアリティが凄い事になっているんですね。それに加えて痔になり難くなる方法や、痔になった時の対処法やケアの方法…挙句の果てに痔の切除手術の体験談で結ぶ…という、タイトルを「漫画で分かる痔の対処法」なんてタイトルにすれば漫画コーナーではなく実用書コーナーに置いてもおかしくないレベル…というのは言い過ぎかもしれませんが、意外な事に、中々勉強になる作品だったりするのです。

                   

                  そして面白いのがこの作品、決して「痔で一点突破」という作品でもないんです。痔に関する知識がネタにはなっているんですが、この作品、意外な魔での正統派ボーイミーツガールで青春ラブコメなのですよ。むしろ、片思い中の男子がふとしたきっかけで他の女子と仲良くなり、やがて片思い相手とその女子も仲良くなる。片思い相手と距離が縮まった男子だが…という構図はむしろ王道的展開と言えるかと。痔ネタにかまけてラブコメ的な描写…心の機微的なものにも手抜きしている感じでもなく、2巻という割と短い尺できっちり物語としても纏めているのが素晴らしいのです。

                   

                  痔を題材にしている点やタイトルの下品さの裏腹で、意外なまでにちゃんとしている秀作なのです、コレ。

                  現在密かに痔と戦っている人、オススメですよ。

                  | 零哭堂 | 漫画紹介 | 21:26 | comments(0) | - |
                  幻の多角形コーナリング
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                    今回はコレ。

                     

                    池沢さとし(現:池沢早人師) 全27巻

                     

                    ジャンプに連載していた伝説の作品です。

                    本作が呼び水となって世にいう「スーパーカーブーム」という奴が訪れ、街中を走るスーパーカーをカメラを持った子供達追いかける…なんて現象が起きていたんだそうで。まぁ、私も連載中に読んでいた訳ではなく…というより私が生まれた翌年に完結している作品だったりします。

                     

                    この作品に出合ったのは父の影響ですね。私が小学生の頃、当時少年ジャンプに連載していた「よろしくメカドック」が好きでコミックスをそれこそ暗記するレベルで読んでいたんですが、そんな私の姿を見て父が教えてくれたのが「サーキットの狼」だったんです。ただ、如何せん当時としても昔の漫画でしたから中々読むことは叶わず…母に連れられて行った西友でやっていた古本市にて発見したカバーもない12巻と19巻だったかな?…確か12巻は流石島レースの中盤でディノRSを駆る裕矢がフェラーリの女豹や北海の龍と追い上げていく場面、19巻はホークス編の終盤、カウンタックLP500Sとフェラーリ512BBの兄弟との決着だったかと。

                     

                    そして運命の日が。

                    私は学校のマラソン大会の練習で派手に転倒して右手を骨折した事がありまして、毎日学校帰りに整骨院に寄る羽目になったんですが…ココの待合室にあったんですよ、「サーキットの狼」が全巻!!いや〜、診察券出して自分の名前が呼ばれたのに気が付かないレベルで真剣に読んでましたね、ええ。作中で繰り広げられる荒唐無稽なスーパーカーバトルが堪らなく面白かったんです。後年読み直した時は、むしろ荒っぽい漫画、という印象すら受けたんですが…ホントクルマ好きなガキだった私のハートは完全に射止められてしまったんです。

                     

                    重ね重ね書きますが、正直、今読み直すとキツイ作品かも知れません。レース展開には作劇上で仕方ない部分はあるとはいえご都合主義が多いですし、絵だって…特に人物は決して上手くはない。ウリの筈のスーパーカーだって結構大胆な省略とかやってる事もありましたし、割と無茶苦茶な部類に入る作品ではある気がします。

                     

                    でも…でも面白い。面白いんです。

                    何が良いって、当時小学生とはいえたまに放送されるレース中継なんかは熱心に見ていた私には、幼いながらもスーパーカーと呼ばれる高級高性能な外車が大挙レースに参戦してデッドヒートを繰り広げる…という光景は「ありえないもの」という認識があったんです。ここ近年はそれこそGT3とかのカテゴリーがあって、それこそSUPERGTなんかでも「サーキットの狼」的なバトルが繰り広げられていますが、当時はそういうのはなかった訳でね、それが漫画とはいえ眼前で繰り広げられている…というのに先ずは興奮した訳ですよ。

                     

                    しかも、「サーキットの狼」に登場しているクルマは当然の事ながら私がちゃんと読んだ時点ではもう型落ちの古いクルマ…でもスーパーカーであるが故に、名車とか伝説のクルマ、的に名前が残っていたのがまたね、良かったんですよ。そんな凄いクルマの共演な訳ですから、もうね、興奮しっぱなしですわ。

                     

                    ただまぁ、冒頭…と言いますか、裕矢がA級ライセンス取得の模擬レースまで駆っていた…確かムリヤリターボ搭載してましたっけ…ともかく、ロータスヨーロッパSPですが、このクルマ、所謂エンスージアスト、なんて言われている人にはウケが良いクルマ…でもエンスーにはロータスエランの方が人気がある気がしますが、ともかく作中に登場するクルマの中では比較的…というかかなりローパワーです。その分軽量でコーナリングが得意、というクルマ。故にコーナリングでライバル車を抜いても長い直線でぶっちぎられる…というシーンが多い訳です。このローパワー故に苦戦、という構図、後の「頭文字D」のハチロクトレノにも通じるものがあるかと。馬力向上の為に割と無茶な改造を…というのまで似ている気がします。

                     

                    ともあれ、「マッハGoGoGo」的な架空のスーパーマシンではなく、実在するクルマで、かつドライビングテクニックも実在…って、フォーミュラーになってからのジャンピングターンフラッシュだけは大嘘ではありますが、そういうモノが伴ったそれなりにリアリティのあるレースを描いた…という点ではやっぱり革新的な作品で、伝説と呼ぶに相応しいと思うんです。

                     

                    …まぁ、フォーミュラー編になってからは正直、クソつまんないんだけどね。

                    「ル・マン インジャパン」がやつぱりクライマックスかな?個人的に一番好きなのはAライの模擬レースだったりするんですが。

                     

                    あ、余談ですが、裕矢は作中で実在したレース「富士フレッシュマンレース」に出場しているんですが、ここで裕矢の乗るサニーのチューナーとして名前が出る「まつおか自動車」と、このレースで初登場となる椿健太郎のサニーのチューナー「土屋エンジニアリング」…この2つのチューナーは実在しています。しかも「土屋エンジニアリング」に至っては現在でもSUPERGTのGT300クラスにマザーシャーシのHOPY86で参戦中なんですよ。

                    | 零哭堂 | 漫画紹介 | 20:45 | comments(0) | - |
                    スティーブン・セガールとは無関係
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                      参議院選挙の投票日が近付いてます。

                      先日、初めて「期日前投票」という奴に行ってきたんです。いやね、会社がわざわざ投票日当日に勉強会をぶつけてきやがったんですよ。開始時間はともかく終了時間があいまいな漠然としたスケジュールしか連絡してこないもんですから、

                       

                      「選挙の日に被ってる。終わってから投票に間に合うか知りたいから詳しいスケジュール教えてくれ。」

                       

                      と電話したら帰ってきた返事が

                       

                      「あ、そういえばそうですね」

                       

                      と来たもんだ。やれやれ…。

                      と、いう事で今回は政治に関わる漫画を1つご紹介。

                       

                      かわぐちかいじ 「沈黙の艦隊」 全32巻

                       

                      日米が共謀し極秘に建造された日本初の原子力潜水艦・シーバット。表向きは米海軍所属とされるこの艦に乗るのは、日米の偽装工作によりロシアの原潜と衝突事故を起こして死亡したとされている海自潜水艦・やまなみの乗組員だった。元4やまなみの艦長でシーバットの試験運行の指揮をとる海江田は、試験運行の最中乗組員全員と反乱を起こし、米海軍の監視から行方をくらませる。海江田はシーバット改め「やまと」を自身を元首とする国家として宣言。しかもやまとには出向時核兵器を搭載している可能性があった。アメリカ大統領ベネットはやまと、および海江田を核テロリストとして抹殺を図るが…

                       

                      という、非常に大掛かりな設定で展開する作品で、ダイナミックな潜水艦の戦闘シーンは勿論の事、架空戦記というジャンルに留まらない激しい政治劇や各キャラクターの政治的信条、核兵器や国際政治等への問題提起、といった大変に難しいながらも読みごたえのある作品になっています。私自身、漫画は娯楽、と考えているタイプの人間ですし、馬鹿馬鹿しくも清々しいまでにな〜んにも残らない…でもバツグンに楽しい漫画が好きな方ではありますが、それとは別に重々しかったり小難しかったりする漫画も定期的に読みたくなってしまうんですよ。

                       

                      現在かわぐち先生は、尖閣問題を題材とした「空母いぶき」を連載していますが、本作「沈黙の艦隊」はその時代背景から主要な敵はアメリカ…現在の日本の置かれた立場などを考慮すると、「沈黙の艦隊」と「空母いぶき」の相関が面白いですね。アメリカにべったりな今の時代だったら、「沈黙の艦隊」みたいな形の作品はちょっと描きにくいかも知れません。

                       

                      「沈黙の艦隊」は、その作風から湾岸戦争が勃発して自衛隊のPKO派遣を巡る憲法9条の問題が話題になっていた時期には国会で「この作品を読んだ事があるか」という質問がされたりと漫画というメディアを飛び越えて、様々な分野で注目をされた作品です。

                       

                      ちなみにアニメにもなっていて、2時間枠の作品が諸所の都合により地上波放送は中止されてビデオソフト発売後に深夜枠で放送…とか、こういうテーマの作品だからしてゴタゴタはあったみたいですが、後にOVAとして続編が2作作られてるんだそうで。制作はお馴染みサンライズで、監督は「装甲騎兵ボトムズ」の高橋良輔氏。「ガサラキ」とかやっている事を考えると分かる人選かな?と思います。他にも平井久司氏や山根公利氏なんかも参加されている様です。

                       

                      ウチでは以前、政治を題材にした作品として「サンクチュアリ」を紹介しましたが、本作は「サンクチュアリ」とは方向性は異なるんですね。「サンクチュアリ」は政治を題材にしている所までは共通ですが、こちらは男の友情的な部分がより強い作品。一方「沈黙の艦隊」は当時の現状に対しての問題提起であり、それに作中の展開に即した様々な政治手法と言うか、概念的なものが打ち出されているんですね。ですから、正直ガキだった頃の私には荷が重い漫画でしたね。逆に年を重ねてから読み直したらコレが抜群に面白い。こういう作品って貴重だと思うんですよ。

                       

                      もっとも問題提起とはいえ作中で提唱されるものにはやや荒唐無稽に感じてしまうものもありますし、実際問題として作品が連載している最中にソ連が崩壊したりしていて作品自体の流れにも若干影響している風に感じられる部分があったりはします。それに軍事評論家とかの意見として、作中の海江田の操艦などに現実的なものでない描写もあります。代表例がアップトリム90度、ですか?他にも…まぁコレはツッコミされるのも分かるな、という海上を飛ぶシーン…確かにいろんな人からツッコミはされているんですが、オフィシャル解析本での現役海自潜水艦乗員の座談会で「研究の余地はある」なんて言われているそうで…スゲェなぁ。(笑)

                       

                      ただ、そういった「ツッコミ」が野暮に思えるレベルでエンターティメントとしても完成した作品になっていると思うのですよ。それは荒唐無稽に思える作中で提唱された「やまと保険」とか「世界政府」とかに関してもそう。斜に構えて重箱の隅をつつくような形ではこの作品の面白さは理解できないんじゃないかと思うんです。問題定義とか色々メッセージ性、テーマ性なんて小難しい部分も勿論魅力の一端ではあるんですが、それらが何故作中で魅力的に感じるのか、荒唐無稽でも一考の余地を感じてしまうのか…それこそが本作最大の魅力、「キャラクターの熱意、熱量」なのではないかと。

                       

                      海江田もベネット、竹上…そういったキャラクターの熱意…言い換えてみれば「本気度」がハッキリと見える作品だからこそ、読者ものめり込んでしまう…小難しい部分以前に漫画作品として一番大切なんじゃないかと思うものを、この「沈黙の艦隊」は確かに実践して見せている…そう思うのです。

                      | 零哭堂 | 漫画紹介 | 21:01 | comments(0) | - |
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