ビルバインは人気なのか不人気なのか問題
- 2024.01.21 Sunday
- 00:26
今回はコイツ。
超カッコイイ1/48プラモのボックスアート
ご存知、「聖戦士ダンバイン」の後半主役メカ・ビルバインです。
まぁ…色々言われてしまっている主役メカです。スポンサーの横槍で世界観に全く合っていない玩具チックなデザインを与えられた悲劇の主役メカ、みたいな事まで言われる事もありますが、どうなんですかね?ホントの所って。
私も一時期、そういうイメージもあってかネガティブなイメージを持ってたんですが…よくよく考えてみれば「聖戦士ダンバイン」が放送されていた1983年は、当然インターネットもなければスマホもない。当然SNSなんてシロモノもない訳で、今の様に自分の生の声を誰かに伝えたり、誰かの生の声を聞いたりは簡単には出来ず、それこそアニメ誌とかの情報が今よりも重かった筈。アニメ誌等の一部の声の大きい投稿者の言葉や、スタッフインタビュー等の言葉が独り歩きして、虚像の総意となった可能性もあるんじゃないかと。
今でもネット上では当時のアニメファンからは否定的な声が多かった、自分も子供の頃「これはない」と感じた、なんて語られる事は多いのも事実。でもその一方で、いや普通にカッコ良いと思ったし好きだったと語る当時の視聴者の声も同じくらいあるんです。
…ホントの所って、結局分からないんですよ。具体的な数字でもあれば話は別ですが、誰かの過去語りなんて主観まみれ。その人の中での正解でしかないですからね。
まぁ、放送当時「ダンバイン」は玩具の売り上げが低迷しており、メインスポンサーだったクローバーからの要望で遊べる玩具として強度を考慮したデザインである事や、背中に大砲&鳥に変形という、元々のオーラバトラーのコンセプトからは逸脱した、言わば玩具屋の都合で半ば現場に押しつけられたデザインである事は間違いない様で、そのデザインがバイストン・ウェルという世界観では浮いているというのも事実だと思います。監督の富野氏も「最初から言ってくれればもっと世界観に合ったビルバインを出せた」と語っており、オーラバトラーのデザインを担当していた出渕氏もクローバー側からのデザインを手直しした物を富野氏に提出した、なんて逸話も。
余談ですが、半ば現場にビルバインという鬼子を押しつけたクローバーですが、あえなく倒産。メインスポンサーはバンダイが引き継ぎますが、実はビルバインの玩具を販売したのはバンダイではなくトミー(現タカラトミー)で、同時期にトミーは私も大好きな「メカ生体ゾイド」の展開もスタートしていたりします。
さてさて、ビルバインですが…「ダンバイン」好きだぜ、という人に程ネガティブに見られているといいますか、そんな印象はあります。出淵氏もこれが本当のビルバインだと言わんばかりにヴェルビンをデザインしていたりしますし。ただその一方、ねとらぼで行われたオーラバトラー人気投票では鬼子である筈のビルバインが1位になっていたり…いよいよもって、ホントに人気あるんだかないんだか分からない事に。
尤も、近年における評価に関しては「スパロボ」等の影響は大きいんだと思います。鬼畜かつ劣悪なバランスでお馴染みのウインキー時代でも、地形適応のせいで宇宙では若干不利になるものの、圧倒的な回避能力とハイパーオーラ斬りの爆発力を併せ持つ強ユニットとして君臨していました。それ以降も参戦頻度はやや減って、バランス調整でややパワーダウンはしているものの、それでも十分一線級として使えるユニットです。実際、「スパロボ」やって「ダンバイン」に興味持った、という人は少なくないんじゃないかと。
極論を言ってしまえば、好き好きだよな…というのが結論です。身も蓋もないんですが。
ちなみに私の場合、ビルバインとの出会いはアニメでもスパロボでもなく、「プラモ狂四郎」だったりします。
忘れもしない…小学校低学年の時の子ども会の遠足でサマーランドに行きましてね、その日、サマーランドでは「キン肉マン」のスタンプラリーがやっていて、私は1日で3回迷子になると言うマヌケな記録を打ち立ててしまったのです。そんな私は3回目の迷子の後の2時間程度だったかな?親の監視の元で休憩所みたいな所に缶詰めにされたんですが、そこに置いてあったのが「プラモ狂四郎」のコミックス。描かれていたのは南郷率いる薩摩模型同人会へのリベンジマッチ…この時のプラモシミュレーションで四郎が駆ったのがビルバインだったんですよ。当時はそれが「聖戦士ダンバイン」というアニメのメカだと言う事すら知りませんでしたが。
…美少女フィギュアとかを素っ裸状態に改造してしまう事を指す「魔改造」の語源って、実は「プラモ狂四郎」からなんですよ。(笑)
その後、「スパロボEX」にてビルバインに再会を果たし、俄然「聖戦士ダンバイン」という作品が気になった私は、テレビ埼玉で再放送されたのを機に全話視聴。当時はビルバインよりダンバインの方が世界観へのマッチングも含め、デザイン的に好きだったんですが…ビルバイン初登場エピソード「ビルバイン出現」を見た時には痺れましたね!!
そもそも、ビルバインよりダンバイン派だったのも世界観とのマッチングの差だった訳ですが、この交代劇を見せつけられたらもう…カッコ良ければいいじゃん!!となってしまいましたよ、ええ。
そもそも世界観とのマッチングというのなら、イデオンやザブングルもかなりビミョーと言わざるを得ない訳で。尤もザブングルはより世界観にマッチしたギャリアに交代しますが、「ダンバイン」の場合は作品外の事情で逆に世界観からずれている方に交代した、という違いはありますけれども。
でもまぁ、バイストン・ウェルでは持てはやされて入るものの結局は異分子である聖戦士…その代表ともいえるショウが、オーラバトラーとしては異端なビルバインに乗る…という構図は主人公らしいんじゃないかな、と。
ああ、これも余談ですが…いつの間にかビルバインにはサコミズと一緒にバイストン・ウェルに召喚された"桜花"のジェットエンジンが使われている…なんて設定が追加されているんだとかで、「リーンの翼」と「聖戦士ダンバイン」を繋げてサーガ化する目論見があったのかも。
…ショウ達が召喚される10年ほど前にバイストン・ウェルに迷い込んできた自衛隊の技術空曹。迷い込んだナの国の辺境の村で農作業に便利な"機械"を作った事で村民に受け入れられ、それなりに平穏に生活していた彼の元に王女からの使いが。王城を訪れた彼は美しい王女からオーラバトラーという地上の技術を用いた兵器でバイストン・ウェル支配を目論む男の話を聞かされ、城にて保存されていた旧軍の特攻兵器"桜花"を見せられる。実は彼の祖父が桜花の開発に関わっており、妙な因縁を感じていると、美しい王女から「これとそなたの技術で野望を食い止めうる力を作れ」と命じられ…なんて妄想が広がりますなぁ。