兎年、という事で(違う)
- 2023.01.17 Tuesday
- 23:01
今回は前から書こうと思っていた人。
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」より バーナード・ワイズマン
はい、ご存知バーニィです。
ホントはクリスマスに書こうと思ってたんですけどね。
よく「0080」をジオンサイドから描いた作品でバーニィが主人公…なんて勘違いをしている人もおりますが、「0080」の主人公はアルフレッド・イズルハという少年。戦争の最中でも比較的影響を受けていなかった中立のコロニーを舞台に、戦争やモビルスーツに憧れを抱く少年の視点からひょんな事から巻き来れれた戦争の悲劇を描いた作品。バーニィは重要なキャラクターではありますが決して主人公ではありません。但し、アルはどちらかというと視聴者の視線を担う様な立場、かつ語り部的なポジションでもあるので物語的に言えば主人公の様なポジションではありますが。
さて、バーニィと言えば、未だ根強く残るザクマニアという偏見…これは旧「スパロボ」シリーズにて、シナリオ的に出番が乏しいバーニィを特徴つける為なのか重度のザクマニアという設定を勝手に付加されてしまった為で、「0080」作中では搭乗機ではありますがウラキとは違ってザクマニア的な演出や描写は皆無なのです。つまり、100%ウインキーソフトのやらかし案件。動画配信とかで古い名作にも簡単に出会える今とは違い、確かに旧「スパロボ」の頃は参戦作品の原作を簡単に視聴できなかったのは事実ですが、「0080」はそこまで古い作品でもないのだから、スタッフのセンスの問題だと思うんだな、コレは。
そんなバーニィ…最近の「スパロボ」…っても、最近の「スパロボ」に参戦してないんですが(苦笑)…それは置いておいて、撃墜されたザクを独力で修理し、罠などの奇策を用いて最新鋭ガンダムと引き分けた、というのを考慮し、大器晩成型で大事に育てるとステータスの伸びが良い、癖はあるが有用な精神コマンドを覚える、なんて形で使えなくはないパイロットと設定される様になりましたが、旧シリーズではカツ辺りとどっこいのステータスで自爆戦術要員みたいな形に。
個人的には、どっちもバーニィっぽくない気がするんですよ。
ガンダムと引き分けた件についても、アレックスがニュータイプであるアムロ用に設計、調整されていて常人には扱いきれないレベルのピーキーな試作機であり、クリスの腕が悪いとか以前の問題があった訳です。更に言えば直前のケンプファーとの対決時に受けたダメージとかもあった筈で、完調とはいかない状態だった訳です。ガンダムと引き分けた…というのは事実であっても、状況とアルが住むコロニーを守りたいというバーニィの想いが生んだ奇跡だったのではないかと。
かといって、旧シリーズの様な扱いは…ステータスの低さはともかくとして、自爆要員扱いは…彼は決死ではあったが自殺する為にアレックスに挑んだ訳ではないと思うので、なんか違うと思うんです。
…そう考えると、「0080」の参戦率が高くないのも分かる気がします。(苦笑)
ともかく、バーニィの魅力って…普通の兄ちゃんって部分だと思うのですよ。
基本的に温和で当初は邪険にしていたものの、アルに対しては面倒を見ている内にすっかりいい兄貴分になった面倒見の良い、あるきっかけで知り合ったキレイなお姉さんにすぐ好意持っちゃう、ちょっと見栄っ張りで嘘がヘタな…そんな、どこにでもいそうな普通の兄ちゃん。
そんなどこにでもいそうな普通の兄ちゃんが仲間を失い作戦失敗、その結果コロニーに核攻撃が迫る状況から一度は逃げようとしたものの、決死の覚悟でガンダムに戦いを挑んだからこそ胸を打つのではないかと。それこそ、ノベライズを担当した結城恭介氏が
「アニメの悲劇的な結末を踏まえて、苦悩の末に蛇足と知りつつあえてこうした」
とバーニィの顛末を改変してしまう程。
もうね、ガンダムと引き分けたバーニィは経験を積めばエースになれたかもしれないとか…そういうのはどうでもいいんですよ。
普通の兄ちゃんが決死の覚悟で挑んだ戦いだからこそ、その悲劇がアルに…我々にダイレクトに伝わってくるのではないかと。
余談ですが、「0080」は意外と「マクロス」との関りが深かったりします。
美樹本氏以外でも監督に抜擢された高山文彦氏…この人も「マクロス」で演出を務めていて、プロデューサーの高梨氏によると「マクロス」で気に入ったエピソードの演出が全て高山氏だった事がオファーのきっかけたったんだそうで。
キャラクターデザインの美樹本晴彦氏は今では「ガンダムエース」で「エコール・デュ・シエル」を描いていたり…って、"今では"という程最近という訳でもない上に未完状態ですが、ともかく「ガンダム」の仕事をしていても違和感はなくなってますが、当時としてはどうしても美樹本氏は「マクロス」のイメージが強く、ある意味ガンダムファンには忌避感があったかも知れません。まぁ、当時から既にスニーカー文庫のノベライズの表紙絵とか色々「ガンダム」に関わっていたりしますし、そもそもアマ時代は「ガンダム」の同人誌を河森氏と描いていたりしていたんだそうですけどね。
更に言えば、「3×3EYES」のOVAの主人公とヒロインの声が辻谷さんと林原さんなのも、「0080」のバーニィとクリスからなんだそうな。
…ビデオレターのシーンは今見ても…最初に「0080」を見た小学生の頃と変わらず泣けてしまいます。
…私も、忘れてないよ。